外は よく晴れていたが 冷え込みがきつかった
ソンミナ…君は今 暖かいのか?
そばに 愛する人がいるのか…?
いつもなら
君の手をつないで一緒に入れるポケットが
スカスカして 淋しいよ…
「ねえ、キュヒョナ…実は話があるの…
買い物っていうのは うそ…ごめんね…」
ミナの言葉に 俺は驚いた
そして 何となく胸騒ぎを感じた
何の話なのか…?
ドンヘのことか…?
「…話って…?」
不安な心で尋ねた
「歩きながらも何だし、あそこ入らない?」
「えっ…? あそこ…?」
ミナが指さしたのは カラオケだった
こんなとこで…とも思ったが
ホテルよりはましか…そう思った
やや薄暗く 狭い部屋に二人
もちろん 歌うわけでもない
何となく居心地が悪い…
「何か飲むでしょ? 何がいい?」
「…えっ…ああ、じゃあカフェオレで…」
覗き込んでくるミナの顔が近くて…
この前見た夢を思い出し
俺は ミナを直視できなかった
夢の中で 俺はこの人を…
たかが夢だと笑いながら
リアルに思い出す白い肌が目の前にちらつき
大きく一つ 深呼吸をした
「…ねえ、キュヒョナ…ソンミンさんと仲いいでしょ?」
その名を聞いて ドキンと胸が痛む
会いたい…
「…それが何か…?」
心に蓋をして
何事もなかったかのように 言った
「あのね…今、ちょっと色々あって…」
ミナは 言いにくそうに口ごもった
ドンヘとのことか…
「色々って…?」
俺は 何も知らないふりをした
「今…実は ドンヘとうまくいってないんだ…」
ミナは ポツリとつぶやいた
うつむいた頬に 長い髪が影を落とした
俺は黙っていた
「でね…この前 キュヒョナの家行ったじゃない?
あの時、おばさまにいろいろ相談して…
その時おばさまから
ソンミンさんに相談してみたらどうか…って言われて
それで 思い切って相談してみたの…」
母さんの差し金だったとは…
「でね…私、緊張をほぐしたくて
待ってる間にちょっと ワイン飲んで…
お酒のせいにするわけじゃないんだけど
ソンミンさんに 色々失礼なこと言っちゃったの
後で 恥ずかしくなって…」
飲んでたのか…
ソンミナ、酔っ払いには いつも苦労するよな…
「でね…謝りたいんだけど…恥ずかしくて…
ねえ、キュヒョナ…一緒に会ってくれない?」
ミナは 顔の前で両手を合わせて
すがるような目で 俺を見た
よりによって こんな時に…
どのツラ下げて 会いに行けって言うんだ
恥ずかしくて会えないのは 俺の方だ…
「そんなの、自分で行けよ…
ソンミナは 何も気にしたりしないって…」
やっぱりできないよ
もう 合わす顔がない…
「そんなこと言わないで…お願いっ!」
ミナに 拝み倒された
会いたい…
本当は俺だって今すぐにでも…
だけど…
昨夜の自分が 大きく立ちはだかる
あんなことをして あんなことを言って…
今更どうやって 会いに行くんだ…
無理だ… できない…
そう思う一方で 会いたい思いは膨らむ
素直になれ…
ミナだって 自分のしたこと 言ったこと
恥ずかしいって 謝罪するんだ
やってしまったことは消えないけど
これがすべての終わりじゃない
やり直したい…
そうなんだろ…?
俺は 自分に問いかけた
「とにかく…連絡だけは してみるけど…
まさか 今からとか…?」
そう尋ねると
「今から…お願いっ、電話してみてっ!」
ミナは また両手を合わせた
心臓が ドクンドクンと 大きな音を立てる
人間の身体って 素直にできてる…
ひとつ大きく息をして
スマホの画面に浮かぶ ソンミンの名に
そっと指で触れた
愛しい人の 柔肌に触れるように…
呼び出し音が 耳の奥にこだまする
…出るわけがないか…
後悔が 押し寄せ 俺を嘲笑う
…もうダメか…
そう思ったとき
「…もしもし…」
甘くかすれた声がした…