夕飯を食べていくよう 母さんが強引に誘って


ソンミンは 遅くまで家にいた


すっかり 仲良くなって ますます気に入られたようだ




「ソンミンさん 一人暮らしなんだったら 


 是非食事しに来てちょうだい」 


母さんは お菓子作りはダメだけど 食事は大丈夫


意外とこれが 美味いんだ




「ありがとうございます、本気にして来ちゃいますよ?」


「ソンミナ、毎週でもいいよ


 母さんと二人より 楽しくていいから 」


「母さんこそ キュヒョナと二人じゃ 味気ないわよ!」


三人で笑いながら ソンミンの笑顔に 幸せを感じていた







駅まで送る道を 歩きながら


名残惜しくて 歩調が ゆっくりになっていく





「キュヒョナの温かさは 育った環境だろうね…」


ソンミンが突然 つぶやいた


「え…俺って あったかいかな? 」


何だか 顔が赤くなる





「うん…キュヒョナといると 


 じんわり温かくなってきて 癒される…」


そう言って 柔らかな笑顔をくれた


「…照れるよ…


 俺こそ ソンミナといると 幸せな気分だよ…」


本心からの言葉…珍しく素直になれた





「キュヒョナみたいな人を好きになれば 


 幸せなんだろうね…」


その言葉が 逆に 俺じゃないんだって言っている





「今からでも 乗り換える?」


冗談みたいに聞こえるかな…


「…ばか…思ってもないくせに…」


ソンミンは 俺の腕を 叩いた






「…思ってるって言ったら どうする…?」


「…えっ…?」




俺は 立ち止まって 彼の腕を掴んだ


一瞬の沈黙が 長い時間のように感じた







「おっ…キュヒョナじゃないか…!」



突然声がして 振り向くと 幼馴染のキボムがいた


…なんでこんな時に限って…





「…ああ、キボマ…久しぶり…」


「ホント久しぶりだよな…友達?」


「…イ ソンミンです…キュヒョン君の友達です…」


ソンミンが手を出して 


キボムは その手を握って放さなかった





「…てっきり恋人かと思ったよ…いい雰囲気だったよ 


 俺、キム キボムです 


 キュヒョナとは幼馴染で 家も近所で


 まあ、腐れ縁ってとこかな?」


まだ握ったままだ…




「近くに いいお友達がいるんだ…


 うらやましいな キュヒョナ


 僕 実家から出て一人暮らしなんで…」


ソンミンも 放す気配はない 





「ソンミンさん 社会人?」


「ええ、製薬会社に勤めてます 」 


「俺は Sっていう化粧品メーカーに勤めてるんだけど、


 知ってる?」


「僕 Sのメンズのラインナップ使ってるし、


 それにSだったら うちの会社のすぐそばですよ」


「えっ、じゃあT製薬? ご近所さんじゃん!


 あそこは 化粧品には参入してないし 


 仲良くしても大丈夫だな!


 今度 昼飯一緒に食おうよ、スマホ貸して…」



キボムは あっという間にアドレスを交換してしまってた


何か得体の知れないものが 


ムクムクと頭をもたげるようだった






「…ほら、ソンミナ もう行かないと…


 キボマ また今度な…」


そう言って ソンミンの腕を引っ張った


「あ、キュヒョナ… キボムさん また…」


ソンミンは 慌てて俺に続いた


「キボマでいいよ!また今度…気をつけてね」


キボムの声に 俺は何故かイラッとしていた







黙って歩いていると ソンミンが立ち止まった


「どうしたの、キュヒョナ…痛いよ…」


気づくと ソンミンの腕を ギュッと掴んでいた


「…あっ…ごめん…」


慌てて放した






…嫉妬…  


俺の中にある暗い感情




普段は あまり感じることもないそんな心が


君を好きになって 意識し出すようになった


…君が 悪いんだ


…君が 魅力的すぎるから


俺は どうかしてしまってる






「…キボムって ちょっとドンへに似てる…」


ソンミンの言葉が 俺の心臓をギュッと掴む


「そうかなあ…全然似てないと思うけど…」


俺は なるべく感情を殺してそう言った


「…うーん、顔とか似てるわけじゃないんだけど


 人の懐に すっと入ってくる感じ?


 ソフトで でも情熱を秘めてるようで…


 惹かれる人だよね…」






君は 俺をただの友達にしか見てないんだな…


わかっていたつもりだったけど、確信に変わったよ…


俺の前で 他の男の話をしないで


そう言えたらいいのに…


そんな理由 君にはない






君を好きになって 


恋って苦しいものだと言った 君の気持ちが わかったよ






「ソンミナ…君って ホント気が多いんだな…」





そんなことを言って 大切な人を傷つける自分が


消してしまいたいほど嫌だった…