撮影の現場に着いても 気持ちを引きずったまま…
どんなに笑顔を作ってみても
写真には 表れてしまうんだろうな…
「お疲れ様でした!」
スタッフや カメラマンに 挨拶をして
もう 帰ろうとしていると
「キュヒョナ、ソンミナ…お前たちは事務所に行くから…」
マネヒョンがそう言った
このタイミングで…よりによって…
重苦しい空気のまま 二人 車に乗り込んだ
黙って お互い目線を外したまま
車の揺れに 身を任せていた
素直になって 謝らなきゃ…
そうは思ってみても 最初の一言が出てこない
結局 一言も交わさないまま 事務所に着いた
ペンたちが大騒ぎしてる
僕たち二人だけだし 余計びっくりしてるだろうな
「キュミン 事務所に結婚報告?」 なんて
きっと 書かれるんだろうな…
笑わなきゃダメかな…キュヒョンは…笑ってる
マンネとは言え やっぱりプロだな
僕も 精一杯笑顔を作ってみた
事務所に入ると キュヒョンは
あっという間に 元の難しい顔にもどっていた
お互い ただ黙って席に着いた
プロデューサーが来ていて
僕達のユニットのデビュー曲が出来上がった事を知らされた
「明日からリハに入って すぐレコーディングするから
ソンミナ、ギターはとりあえず レコーディングではいいから…」
ホッとしたけど いいのかな…
帰りの車の中では 二人とも 曲のデモを聴きながら
自分だけの世界に閉じこもっていた
ハッピーなラブソングだろうと思ってたけど
意外と切ない歌詞だった
好きなのに 言えないまま ただ見つめるだけの恋
好きって言う事で 見つめることすら叶わなくなるようで
怖くて その一言が言えない…
そんな気持ちの揺れを 表現してる
今なら 上手く歌える気がした…
マンションに着いて エレベーターに二人っきり…
「何階?」
キュヒョンが ぶっきらぼうに尋ねる
何階って 決まってるじゃん…
「11階…」
「ふーん…」
キュヒョンは パチっと 11階のボタンを叩いた
はぁ… 取り付く島も無いって こういう事だな…
11階の扉を開けると
それぞれ真っ直ぐ 自分の部屋へ直行した
ベッドに倒れ込んで 布団に突っ伏しているうちに
じわっと 涙が滲んできた
こんなに近くに居るのに 心は遠く離れてて
いつもなら すぐそばにある体温が 今は感じられない
キュヒョナ…淋しいよ…
お前は 僕がいなくても 淋しくないの?
求められる事が 当たり前だと思ってた
キュヒョンが 求めてくる事を めんどくさいって思った事も…
ホントに 僕は 傲慢だった
シャワーを浴びて キュヒョンの部屋へ向かう
コンコン… 恐る恐る ドアをノックした
「…どうぞ…」
低くて 甘い 僕の大好きな声がした
「…僕だよ…ソンミンだよ…入るよ」
返事はなかったけど そーっと扉を開けた
メガネをかけたキュヒョンが ベッドの上に座ってた
「何ですか…?」
冷たい言い方に 心が折れそうになる
「…あのさ、曲 一度合わせておいた方がいいかなって…」
そんな事言いに来たんじゃないのに…
「どうせレコーディングは それぞれ別録りですよ
合わせたって 意味ないし…」
そんな言い方しなくたっていいじゃないか…
でも、それだけ 怒らせたってことだな…
「…そうだよね…ごめん、めんどくさい事言って…」
これ以上 ここにいたら 泣いてしまいそうだ
「…じゃあ、おやすみ…」
慌てて背中を向けた
「おやすみなさい…」
乾いた 冷たい声が 僕の背中に刺さるようだった…
冷めかかった身体で ベッドに入ると
淋しさが押し寄せて キュヒョンのぬくもりが恋しかった
僕は 勝手だ… 昨日は 自分で拒絶しておいて…
愛して 愛して とことん愛してくれたのは
キュヒョナ…君だったよね
忙しいとか 疲れてるとか言われて
淋しかったかい?
ごめん…
君の淋しさが 本当に分かるまで
僕も この淋しさに耐えるよ…
キュヒョナ…好きだよ…
二人の歌を 歌おう
君の声に そっと寄り添うように歌うから
二人の 「あいのうた」を…
キュヒョナ…