北通りのバー 『3rd GATE』に着いた時には


俺たちは うっすら汗ばんでいた


「結構 歩いたね…」 リョウクが こぼした


「俺は これぐらいどうってことないね…」


ドンへは 確かにそうだろう…ホント スタミナありそうだもんな


俺は 結構疲れた… でも ソンミンの事を またひとつ知るようで


何だか うれしかった




3人で そーっとドアを開ける


「いらっしゃいませ… ええっ…! どうしたの? みんな揃って…」


ソンミンは びっくりしていた


「ソンミナの 職場見学…キュヒョナが 行きたいって…」


ドンへっ! 何 適当な事言ってるんだよ!


「ち、違うし! この二人が行きたいって言ったんだ…!」


「キュヒョナ、うれしいよ…ありがとう」


そう言って ソンミンは 俺の手をギュッと握ってくれた


ドンへに感謝するしかないな…



ソンミンは 俺たちを案内してくれた


「何か飲む?」


ソンミンの問いかけに リョウクが


「何か 美味しいカクテルがいいな…ソンミナが作ったのが…」


そう言った  俺も 飲んでみたい…


「わかった…少し待っててね」


そう言って カウンターに戻ったソンミンは あの人と話していた


ハンギョン… あなたは どれくらいソンミンを愛してるの?


胸が痛かった…



「あの人が 中国人の店長さんだよね…」


リョウクが 小声で言った


「うーん、 大したことないって…まあ 背は高いけど…」


ドンへ…大した事あるって…



カウンターの中では ソンミンが シェイカーを振っていた


立ち姿が 美しくて 見とれてしまっていた


出来あがったカクテルを運んできてくれて


それぞれの前に置いた


全部 違うカクテルだ  色も グラスの形も


「どれも 美味しいと思うよ イメージに合わせて作ったんだけど


 気に入ってくれるといいな…!」



俺のイメージ…どんななんだろ?


色は 緑…きれいだけど…味は… 一口飲んでみた


ミントの香り…あと、パイナップル?


「アラウンド ザ ワールドっていうんだよ…美味しい?」


ソンミンが のぞき込む


「うん…美味しいよ パイナップルの味がする…」


「当たりっ! 一見クールに見えて 中身は甘くて情熱的…違う?」


「俺…?そ、 そうかな…?」 何だか 恥ずかしかった


リョウクと ドンへも 何か言われてたけど


もう そんなのどうでもよくて 何も覚えていない…


甘くて 情熱的… 俺の気持ち バレてるのかな…




「ゆっくりしてってね…」


ソンミンは そう言うと カウンターへ戻っていった


カウンターには 4人ほど客が座っていて


二人連れの女性客は 明らかにソンミン狙いだ…


客商売と言えばそうなんだけど 親しげに談笑してる姿に


何となく 面白くなかった…


でも、 それ以上に面白くないのは あの店長だ…


ゆったりとした表情で ソンミンの様子を微笑ましそうに見ている


大人の余裕のようにも見えて


俺は 自分の幼さが みじめだった…




ふと カウンターの向こうのハンギョンと目があった


にっこりと笑う顔を まともに見れなくて 目をそらした


ハンギョンは いつの間にか 俺たちのところへ歩いて来ていた


「いらっしゃい、シェアハウスのお友達ですね? 


 私は 店長のハンギョンです よろしくお願いします」


「あ、僕…」 リョウクが 自己紹介をしようとすると同時に


「リョウクさんですね…小学校の先生だ…可愛いって聞いてたから


 すぐにわかりましたよ」


「えぇっ…ホントですかぁ?」  


おい、キム リョウク …お前は 乙女か? デレるな…!


「あなたは ドンへさん…セクシーなパティシエさんだ」


「セクシーって…ソンミナが言ってたの? やったー!」


どこが セクシーなんだか…


「そして あなたがキュヒョンさん 大家さんだ…」


そ、それだけ…?



「大家さんって… お前 ソンミナにとっては ただの大家さんかよ!」


ドンへが 大笑いしている


「仕方ないよ カッコいいも背が高いも どっちも店長に負けてるもん!」


リョウク… 俺の傷口に 塩を塗る気か…


「キュヒョンさんの方が 私より高いでしょ? 猫背なだけで…」


…みんな 寄ってたかって…


「いいですよ… 大家なのも 猫背なのも 事実なんだから…」


完全に 不貞腐れた…




「店長…それだけカッコよかったらモテるでしょう?」


俺は 反撃に出た


敵を知ることが 勝負の鉄則だから…って バカだな 俺


知れば 今より辛くなるって分かってるのに…


でも ソンミナがこの男を好きになる理由を どうしても知りたかった



どうすれば ソンミナの特別になれるのか


俺にとって 一番知りたい事だから…