あ… 繋がりたいって そう言う意味じゃなくって…


自分で 慌てふためいた



分かり合いたい…


俺たちにしか分かり合えない事が あるような気がして…


何の根拠もなく ただそう思ったんだ




タオルに顔を埋めて 涙を拭いて 少しずつ落ち着いてきた時 


コンコン…  ドアをノックする音がした



「…ハイ…」 


ドアを開けると ソンミンが立っていた


「キュヒョンさん…大丈夫…?」


心配そうに 覗きこむ顔が 何だか可愛かった


「ごめん…もう大丈夫だから…」


俺は 精一杯の笑顔を作ってみた


我ながら上出来だった



「あの…ヒョクが帰るんだけど 何だか話があるって…」


「…話…?」


何だって言うんだ…


ソンミンの背後から ヒョクチェが 現れた


「1、2分ほどで済むから…」


そう言って ソンミンを外へ押しやって ドアを閉めた




「話って…?」


「…ソンミナのこと、気をつけて見ていてやって欲しい…」


「…どう言う事…?」


ヒョクチェは 俺の目を見て


「あんたを 信用するから…」 そう言った



「…意味分からないけど…何に気をつけるの?」


「…とにかく…傷つかないようにしてやって欲しい…」


「…傷つくって…」


どう言う意味なのか 靄がかかったように ぼんやりとして


もどかしい気持だった



「また来るけど…とにかく ソンミナをよろしく…」


「…はぁ…」


俺は ヒョクチェの背中を見送った…




ドアの外から ソンミンの声がした


「遅いよ…何話してたの? 教えてよ~!」


甘えるようなその声が ヒョクチェに向けられてると思うと


心が 暗い雲で覆われるようだった


気をつけるべきは 俺自身かもしれない…


こんな感情で あの人を傷つけるような事のないように




ヒョクチェが 帰って 


リョウクは買い物に行ったっきり 帰ってきてないし


ドンへはまだ仕事…


俺は 初めて ソンミンと二人っきりになった


どうしていいのかわからない…


こんな時ドンへだったら 気の利いた事言ったりできるんだろうな…



「あの…コーヒーでも飲みます…?」


俺は そんなことぐらいしか言えなくて…


「うん…飲みたい…淹れてくれるの?」


「あ、ええ… 美味しい豆があるんです 


 ちょっと時間かかってもいいですか?」


俺の ちょっとしたこだわり…


「うわぁ、楽しみ…美味しいコーヒー!」


小さな手を パチパチとさせる姿に 急にドキドキして 


それを悟られまいと 俺はコーヒーに没頭した



雨の日の午後…


コーヒーの香りが広がって 静かな時間が過ぎる…


好きだ… こんなひとときが…


「今日は お店休みなんですか?」


彼に尋ねた


「うん、日曜日と月曜日は休みです…キュヒョンさんは?」


「俺は 土日休みです  歯科技工士なんです」


「…歯科技工士…?」


「ええ、 入れ歯とか 義歯全般…作ってるんです」


「へえーっ…細かい仕事?」


「小さいものは ホント小さいし 細かいって言えば 細かい…」


コーヒーが入った…


「さあ どうぞ…美味しいといいけど…」


彼に まず手渡した


「ありがとう…うーんっ、いい香り! いただきます…」


カップを 両手で包むように持って 唇を尖らせると


フーフー言いながら そっと口をつけた


俺は いつの間にか 吸いこまれるようにじっと見つめてしまってた



「…うわぁ…美味しい…! 豆がいいの?


 それとも 淹れ方が違うのかな…?」


ソンミンが 目を丸く見開いて言った


「たぶん 両方かな…」


俺の返事に 彼は クスクスと笑った


「キュヒョンさんって 面白いね…」


「あの…キュヒョンさんって言うの やめません?」


俺は ずっと思ってた事を提案した


「えっ…じゃあ なんて呼んだらいいのかな…?」


「何でもいいですけど… キュヒョナ とか…?」


自分で言って 急に恥ずかしくなった


「じゃあ そうします…キュヒョナ」


ソンミンの 甘い声で呼ばれて 何だかキュンとなった



キュヒョナ…俺をそう呼ぶ人はたくさんいる


だけど あなたほど 甘く響く人はいない…


ずっと そうやって俺の名前を呼んで欲しい


あなたに 何度も呼ばれるくらいに 必要とされたい…


俺は 心から そう思った