「…ルームメイト 終わりにしない…?」



「…なっ…!」


俺は 絶句した…


何を言い出すんだ… 


突然の言葉に 頭が真っ白になった



「何でっ? どうしてっ? やっとで こうして一緒になれたのに…」


俺はベッドの上に起き上がった


あの人も ゆっくり起き上り


「だから 怒らないでって…」 そう言うと 目を伏せた



「俺の事 好きですよね…? 一緒にいたいよね…?」


俺は あの人の肩を 両手でつかんだ


「もちろんだよ! キュヒョナが大好きだよ…一緒にいたい…」


「だったら どうしてそんなこと言うんですか…? 悪い冗談だよ!」


「僕は 本気だよ…落ち着いて…キュヒョナ…」


「どうしたら落ち着けるんです? 俺 今パニックです…」


「ごめん…でも キュヒョナの事が 大好きだからこそ 


 そうしようと思ったんだ…」


わからない…そんなのわからない…わかりたくもない



「この前 イェソニヒョンから もうすぐここを出るって言われた


 実家から通うって… 


 いずれは…って思ってたけど ちょっと 予想より早くて 


 僕もびっくりしてるんだけど…」


「だからって 別に 無理やり別れなくても… 


 空けといたらいいでしょ?


 空いてるのにいまだに同室じゃ 変に思われるって言うなら


 表向きは 別室になった事にすればいい…違いますか?」


俺には 到底受け入れられない話だった




「キュヒョナ…こうして一緒にいるのは 僕にとっても幸せだよ


 でも 今回のことで 僕自身 どれほどキュヒョナに依存してるか


 思い知ったんだ…キュヒョナがいなかったら 眠れないなんて…」


そう言うと あの人は 俺の胸に顔をうずめた


思わず抱きとめて 髪にキスした


「だったら ずっとこうして隣にいましょう…何処へも行きませんよ」



「キュヒョナ…遠くない未来…


 僕たちは 嫌でも離れなきゃいけないんだよ」


「…兵役ですか…」


「…そう…よくてあと2年…その後 キュヒョナだって…」


「そんな事分かってます…! だからこそ ギリギリまで一緒に居たい…」


俺は あの人をギュッと抱きしめた



「僕 今回 突然キュヒョナから引き離されたとき


 自分の心を コントロールできなくて…


 もう あんなふうになりたくないんだ… 怖いんだ… 


 心を病んでしまいそうで…」


あの人は すがるように見つめてきた


辛かったね… あの時の あの人の姿を思い出した… でも…



「それでも 離れたくないって言ったら…?」


「キュヒョナ…」


「だって…やっとで掴んだ幸せなんです…なのに…」


「僕も 偉そうなこと言って ホントに別々になったら


 やっぱり戻ろうって 言うかもしれない…


 だって 僕の方こそ キュヒョナと離れたくないんだから…」


あの人は そう言うと俺の目をじっと見つめた


「でも あえて今 離れる準備をしたいんだ…


 そして確かめたい…離れていても 繋がってるってことを…」


「…ソンミニヒョン…」



「キュヒョナ… 僕に会えなくなったら 好きって言う気持ちも薄れる?」


「…いいえ…むしろ逆です…逢えないほどあなたを求めます…


 あなたの存在の大きさを 感じます…」


「僕もだよ…キュヒョナに逢えなくなって 辛かったけど


 キュヒョナの事が こんなに好きなんだってわかった…」


俺たちは どちらからともなく 唇を重ねた


互いに 温かなぬくもりを 求め そして 与えようと…



「ルームメイトじゃなくなっても 愛してくれるでしょ?」


あの人は 俺の目をのぞきこんだ


「…もちろんです… たとえ 遠くに行ってしまっても…


 あなただけを愛します…」


ギュッと抱きしめると あなたはささやいた…


「キュヒョナ…わがまま言ってごめん…大好きだよ」


もう 心を決めるしかないんだな…



「ひとつだけ 条件があります…」


俺は あの人の手を取った


「何…?言って…」


「…俺が 部屋を出ます…」


「…キュヒョナ…どうして…?」


「俺は 今回のことで 一度あなたが出ていくことを経験した…


 もう嫌です…ここに残されるのは…


 この部屋は 思い出が多すぎて… ホントに 辛かった…」


正直な気持ちを伝えた


あの人は 俺の頬に手を当て 口づけた


「わかった…辛い思いさせたんだね…ごめん…」


「いいんです… その分 今が本当に幸せだから…」


あの人を抱きしめ おでこにキスした



「キュヒョナ…僕達 これからが本当の愛を確かめられるんだと思う」


「… 見えない手をつないでますよ… 放さないでください 」


「…キュヒョナは やっぱりいい男だよ…」


あの人は 俺の胸に身体を預けた


「…いい男ですか?…初めて言ってくれましたね…


 うれしいですよ、 もっと言って下さい」


「フフ…調子に乗ってる…!」


顔を見合わせて 笑った




「でも…よく考えたら 大げさじゃない? だって すぐそこだよ…」


あの人が言った


「はぁ…? 大違いですよ…分かってないなあ…」


分かってない 知らないんだよこの人は… 淋しいんだから…


「ソンミニヒョン…独り言が増えますよ…」


「そうなの…?」


「確実に そうなります…」


「何だか 怖いな…どうなっちゃうかな…?」


あの人は 不安げに 俺の手を握った


「淋しい時は また こうして どっちかのベッドで眠りましょう…」


「うん…ありがとう…そうしよう…」



俺は あの人の肩を抱いて 覗きこんだ


「ねえ…約束しましょう…!」


「約束…?」


「まず、 鍵は閉めない事…行きたいときに行けないし…」


「うん…わかった…あとは?」


「他の人を入れても 泊めない事…」


「何それ…? やきもち?」


「何とでも言って下さい! そして 少なくとも週に1回はワインを飲む…」


「どっちかの部屋でね…」


あの人が 優しくほほ笑んだ


「あと 最後に 一番大切な事… 」

 

「…何…?」


「…絶対 遠慮したりしない事…」


「…キュヒョナ…」



「俺が 疲れてないかとか、ゲーム中だしとか、昨日も行ったしとか


 あなたなら きっとそうやって遠慮するでしょ?


 人の気持ちばっかり考えて…それは 許しません


 もし来なかったら 逢いたくないんだって思いますよ」


「…わかった…毎日 行ったりして…」


「俺こそ 行くと思います 追い返さないでくださいよ!」


「ふふ…もし寝てたら 勝手に入ってきてね」


「布団の中にって事ですよね…?」


「…もうっ…!」


抱き合って 布団にもぐった


「…あなたが 好きすぎて 辛いですよ…」


俺は あの人を強く抱きしめ 柔らかな唇にキスした


甘く 熱い キス…




「…オオカミさんが 起きちゃったみたいです…」


「…ええっ…うそっ…!」



こうして 抱き合いながら 温め合って


その温度を 覚えていよう…


例え 離れたとしても 互いの存在を信じて


目には見えない絆を 感じよう…


ルームメイトは 終わっても


重ねてきた日々は 消えない


新しい朝が 明ける頃


きっと 二人の前に 真っ直ぐな道が見えてくるはず



歩き出そう 見えない手をつないで… 



                      END