あの人は リョウクと一緒に ラジオの仕事へ


俺は ドンへヒョンの車に乗って 食事に出かけた



郊外にある 静かな店


個室があるから 俺たちみたいな人間には


都合がいい…



「俺 この店で 初めてソンミナを口説いたんだ…」


いきなり それは無いだろ… 何となく面白くない…


「へえ…そうなんですか…」


なるべく 気にしてないふりをした



「俺…ソンミニヒョンを 大切にします…」


とりあえず 宣言した



「…お前なんかに負けるとはな…」


ドンへヒョンが ポツリと言った


「ソンミナが これから帰るって電話してきたとき


 4割ぐらいは 元に戻れるんじゃないかって思ってた


 でも 6割ぐらいは きっとこれが最後だって分かってたよ…」


「…ドンへヒョン…」


「あいつを 無理やり俺のとこへ連れてきたとき


 あの時から おかしくなってきたんだ…俺が悪かったんだ…」


ドンへヒョンは 遠くを見るように 目を細めた



「あの人 なんて言ったんですか…?」


「…それ 俺に言わすのか… お前を愛してるんだとよ…


 全く 分からないよなぁ…どこがそんなにいいのかねぇ」


「自分でもそう思いますよ…」


男から見て ドンへヒョンは最高だ…俺なんて それに比べたら…



「俺 ソンミナに だいぶ食い下がったよ…


 俺の方が より深く愛してるって…」


「なんて言ってました…?」


「本当の愛は お前の愛だって…


 そこまではっきり言われて 俺がどれだけショックだったか分かるか?」


「…すみません…」


「お前に謝られてもな… ソンミナ言ってたよ


 前に エレベーターから降りてきたソンミナを 俺が引き寄せて


 ソンミナが嫌がってるからって お前も引っ張った事 覚えてるか?」


「…ああ、覚えてます…引きとめようとしたんですよ…」


「あの時 ソンミナは痛がってた…その瞬間 お前は手を離して


 結局 俺が連れて行ったんだ…」


「…そうでしたね…」


「ソンミナは その時 お前の愛情に気付いたんだって言ってたよ」


「…えっ…」


「お前は 自分の気持ちより 


 ソンミナの気持ちを大切にしてくれるんだ…って


 俺は 愛情の大きさって どれだけ相手を想ってるかだと思うんだ


 俺 お前よりソンミナを想う気持ちは大きいって自負してたよ


 でも それは 俺がソンミナを求める気持ちだ…


 ソンミナが言ってた お前のは 与える愛だって…


 自分がどれほど求めていても それを我慢してでも与えようとする


 これまでずっとそうしてくれてたって… 」


「…ソンミニヒョンが そんな事…」


「俺 何も言えなかったよ…


 ソンミナ自身もそうだった…俺に 愛を与えてくれてたよ…


 お前たちは 似てるんだな…」


俺は あの人が そんな風に思ってくれてた事がうれしくて


少し照れくさくて… そして 愛しかった



「ソンミナは 一生懸命俺を愛してくれてた


 それは 確かだと思うんだよ…


 でも 今思えば 愛するって


 そんなに一生懸命 愛そうとしなくても 


 もっと自然と溢れだしてくるものなんじゃないかな…


 お前達を見てると そんな風に感じるよ」


ドンへヒョンは 穏やかな顔をしていた


俺は 同じ立場だったら こんな風にいられるかな


やっぱり カッコいい… 改めてそう思った



「ソンミナは どこをとっても最高だったよ…


 お前にはもったいない…ああ、悔しいねぇ…!」


「ホントに 俺なんかですみません…


 これから いい男になりますよ…見てて下さい」


ドンヘヒョンと固い握手を交わした



帰りの車の中でも いろいろ話した


「ソンミナの 何処が好きなんだ?」


「…えっ… うーんっ…心がきれいなところかな…」


「ふーん… 俺は 背中からお尻にかけてのラインだな…」


「なっ…! 何言ってんですかっ?」


「アハハ! 冗談だよっ、冗談! お前からかうの楽しいわ!」


絶対冗談じゃない…マジだ、絶対マジ…


数え切れないくらいキスマークつけてたもの…


急に 嫉妬心が湧いてくる



きっとこれからも いろんな気持ちがわいてくるだろう


でも あの人を愛してる… この気持ちだけは見失わない


待って 待って 待ち続けて…やっとで俺の胸にとまってくれた


美しい蝶のような人


もう二度と離さないから 覚悟して…