ドンへヒョンは 車の窓枠に肘を掛け


外を見ながら ポツリと言った



「出ていけ…って 言ったんだよ…俺が…」


その顔は 後悔で歪んでいた


「…何で そんな事を…それだけは 言っちゃいけないだろっ!」


つい カッとなった


あの人の心を思うと 堪らなくなった


どこへ行けって言うんだ…


どんな思いで 凍えていたのか… 



「いったい何があったって言うんですか…?」


俺は尋ねた 



「あの日 撮影が終わった帰りの車の中で


 ソンミナは いつになく上機嫌だったんだ


 明日から少し休めるのが うれしいんだろうって思った


 もしかしたら 今夜は 久しぶりに愛し合えるかも…って


 俺としては ちょっと期待してたんだよ


 でも やっぱりダメで… 俺もモヤモヤしてたんだ…


 つい こんなだったら一緒に住む意味ないって 言ってしまって…」



「よくそんなひどい事… あの人がどれくらい苦しむか…」



「…最低だよな…俺 どうかしてたんだ…


 自分でも 嫌になって 少し出てくるって部屋を出たんだよ


 俺の方が出たんだ…


 帰ると ソンミナはソファーで寝てた


 眠れたんだ…って思った 素直によかったって思ったよ


 ヘッドフォンしながら寝てるから そっと外したんだ


 そしたら 聞こえてきたのは お前の声だった…


 次の曲も その次の曲も 全部 お前の歌だったよ…」



「…ソンミニヒョンが…」


胸がギュっと締め付けられた



「あいつは お前の声を聞きながら 眠ってたんだ…


 手には 携帯を握りしめてた…


 お前からの電話を待ってたんじゃないのか…?


 打ちのめされたよ… 俺じゃダメなのか…って


 気がつくとヘッドフォンを叩きつけてた…」



「…ドンへヒョン…」



「…ソンミナは ビクッて起き上ったよ


 すぐに 何があったか 理解したと思う…


 俺は あいつに お前のとこへ帰れって言ったんだ


 今すぐ 出て行けって…


 俺が シャワー浴びてる間に あいつは本当に出て行ってた…」


「じゃあ 昨夜からずっと…」


「ああ…俺は昨夜からずっと探してたんだ…


 でも 見つけられなかった


 なのに お前はあっさり見つけた…何が違うんだ?


 俺だって お前に負けないくらい愛してるつもりなのに…」



「…7年間 ずっとそばにいたんです  長い時間を共にした…


 お互いの気配を感じ合いながら 気持ちを推し量りながら


 隣で眠ってきたんです… 


 俺たちには 特別な絆があるって信じてます…」


俺の 偽らざる心だ



「どうあがいても 俺にはお前を越えられない…そうなのか?」


「ドンへヒョン…俺 たいがいのことはヒョンに敵わない


 でも 歌う事と ソンミニヒョンへの愛は 負ける気はしない」


偉そうだって事 分かってる


でも これだけは 相手がだれであろうと譲れない



俺の存在理由…


そう言ってもいいくらい


ソンミニヒョン…あなたを 心から 愛しています…