「キュヒョナ…」
あの人が 俺を呼ぶ…
「何ですか…?」
「…もし 僕が…」
えっ? 何?
電話の向こうで 声がする
『ソンミナ、大丈夫か?』
『あ、ごめん 今電話中…』
ドンへヒョンか… 心配してるみたいだな…
「それじゃ また今度…」
「…あ、はい…」
「おやすみなさい…」
「…あ、おやすみなさい…」
突然断ち切られた電話… 誰からって言うのかな…
まさか 本当のことは言わないだろう
虚しかった…
翌朝 スタジオへ入ると ドンへヒョンがこっちへ向かってきた
「…おはようございます…」
「おう…おはよう ちょっと話がある」
そう言うと 俺の腕を掴んで 外へ引っ張って行った
「キュヒョナ…お前 まだソンミナの事好きなのか?」
何で そんな事…
ドンへヒョンの顔はこわばっていた
「…俺の気持ちがどうかなんて ヒョンに 関係ないでしょう…」
「関係なきゃ こんなこと聞かないさ…
ゆうべ ソンミナに電話したよな…分かってるんだ…」
「…分かってるのなら 何で聞くんですか…?」
「何の用があって 電話したんだ?」
「…別に…ただ どうしてるかって…そう思っただけです」
「お前 俺に そんな電話してきたことないよな…」
ドキッとした…
「お前 ソンミナの事 まだ好きなんだな…」
俺は 観念した
「…そうですよ…そんな簡単に忘れられるはずないでしょ…
自分は あの人を手に入れて そばに居られて 抱きしめられて
何が不満なんですか?
あの人に選ばれなかった俺の事なんか 何で気にするんですか?」
俺は 正直な気持ちをぶつけた
ドンへヒョンは 溜息を一つついた
「俺は ソンミナが お前との同室を解消さえすれば
俺と一緒に住んでくれさえすれば うまくいくと思ってた…
でも そうじゃなかった…」
「うまくいってないんですか…?」
「いってないさ… ソンミナは 眠れなくて苦しんでる…
セックスすらできる状態じゃない…
毎日仕事できてるのが 不思議なくらいだ…」
俺は ショックだった…
ドンへヒョンに抱かれる間だけは 何もかも忘れられてるんだろう
そう思っていた
だからこそ 自分は我慢しよう そう思えたんだ
それなのに…
「ドンへヒョン 何やってるんですか?
あの人を幸せにでき無いのなら 俺に返して下さい…」
それくらい 言わせてくれ
「…キツイ事言うなぁ…
俺は 時間が解決してくれるかも…って期待してるけど
それまで ソンミナが持ちこたえられるのか…」
「これ以上 あの人を苦しめないで…」
「…それだよ…それこそが 俺の言いたかった事だ…」
「…えっ…?」
俺は 思わず息をのんだ
「お前が電話してくると いつまでたっても 今の環境に馴染めない
お前といた部屋を 忘れさせたいんだ…
もう ソンミナをを苦しめないでくれ…!」
「…俺はそんな…」
言葉が出なかった…
ドンへヒョンは またひとつ溜息をついた
「 いや…こじつけかもしれないな…
俺が 嫌なんだよ…!
いつまでも お前を引きずってるソンミナを見るのが…
口には出さなくても 分かるんだ…
お前のせいじゃないって分かってる
でも 頼むから あいつに電話しないでくれ…! 頼む…!」
ドンへヒョン…
あの人を求めて 求めて 苦しむ男が
ここに もう一人いた…