真夜中 ふと目覚めると ベッドのわきに人影があった
誰かがが 僕を見下ろしている
心臓がドキッと跳ねて 飛び起きた
「キュヒョナ 何なの!? 怖いよ…」
「ミニ…眠れない…」
「……」
「一緒に寝て… 何もしないから…」
「…それは ダメだよ…」
「ヘンリーがいるから…?」
「そう…」
「俺がいるのに キスしてたくせに?」
「…ごめん…」
キュヒョンは 悲しげな笑みを浮かべながら ぺたりと座りこんで
ベッドに頭を持たれかけた
その姿が 淋しそうで 愛しくて
そっと髪をなでた
「…おいで…」
どうして そうしてしまったのか 分からない…
でも そうせずにいられなかったんだ
キュヒョンの 痩せた身体を抱いた… 慈しむように…
キュヒョンは 言葉通り何もせず 僕の腕の中で
あっという間に 安らかな寝息を立てた
冷たかったり そっけなかったり 皮肉屋だったり
かと思うと 泣いたり 甘えたり
どれが 本当のキュヒョンなのか…
彼の身体を抱きしめながら 考えているうち
いつの間にか 僕も 深い眠りに落ちていた
翌朝 目覚めたとき キュヒョンの姿は無かった
少しばかりの淋しさと 安堵感が ないまぜになった感じで
ゆっくりと起き上った
リビングへ向かうと いいにおいがして
誰かが 朝ご飯を 用意しているようだった
「キュヒョナ…?」
そんな事したことないのに…驚いた
「昨夜の お礼にと思って…」
スクランブルエッグもどきと ハムとチーズ レタスとトマト
あとは トーストと オレンジジュース
なかなかおいしそうだった
「いただきます…なんか雨降りそうだね」
「降ればいいけどね…」
キュヒョンの言葉の意味を思うと 複雑だった
きちんと線をひかなくちゃいけない…
そこへ ヒョクと イェソニヒョンが起きてきた
「おっ? 俺たちも食べていいのかな?」 イェソニヒョンが言うと
「俺が作ったんだから 高いよ…」 キュヒョンが答えた
「えっ?ソンミニヒョンじゃないの?」 ヒョクが 驚いて言った
「うん、僕も 今起きたとこ…」
皆でワイワイ食べてると 何だか楽しくて
もとにもどったような錯覚を起こす
キュヒョンに 心が揺れるのは 情の部分なんだ
いま 僕が愛してるのは ヘンリー
僕を 心から愛してくれて 信じてくれる
そう そうなんだ…
自分自身に言い聞かせていた
宿舎にいられるのは 束の間で すぐ出発だ
帰りの機内も やっぱり隣同士だった
でも 行きとは違って キュヒョンはテンションが高くて
こっちが戸惑うほどだった
バラエティーのレギュラー番組に来た ゲストの話だとか
大学の教授に 叱られた話とか
次から次から話す…
キュヒョンの話は 楽しくて 二人でいっぱい笑った
何だか不思議な感覚だった
付き合いだす前のころの感じに似ている
僕は キュヒョンが分からなかった…
キュヒョンが 僕の事をどう思ってるのかすら分からない
本当に 同じキュヒョンなのか?と 思うほどだった
ホテルに着くと それぞれに部屋へ戻った
僕は ヘンリーの待つ部屋へ…
エレベーターの扉が開くと 目の前にキュヒョンが立っていた
「…どうして…?」
「先回りした…」 そう言うと 僕の手を掴んで歩きだした
「どこへ行くの?」
「…分からない…でも 行かせたくない!」
突然 ギュッと抱きしめられた
「ダメっ…!…やめて キュヒョナ!」
僕は 力の限り突き放して その腕から逃れた
「僕はもう キュヒョナを受け入れることはできない 待ってる人がいるんだ」
そう言うと 立ち尽くすキュヒョンを置き去りにして
ヘンリーの元へと 走り出した…