今日は 野外でのコンサート 単独じゃないから待ち時間もある


少しはあの人も ゆっくりできるかも…



車に乗り込む時 ウニョギヒョンが さっとあの人を後部座席に押し込み


自分も後に続いた


しまった… と思ったが遅かった


考え事をしていた一瞬の出来事だった



俺は ひとつ前に座り イライラしていた



「ソンミニヒョン、着くまで寝てたらいいよ コンサート会場遠いから…ね?」


「うん、ありがとう… そうするよ」


「俺の肩にもたれていいから…」



何だと!?   思わず振り返る


ウニョギヒョンと 至近距離で 視線をぶつけ合った


ヒョンは まっすぐ俺を見ながら あの人を抱き寄せる


あの人の困惑した瞳が 何かを言いたそうに揺れ


俺は 喉元まで出かかった言葉を飲み込んで 目をそらした…



かきむしられる様な心の痛みは 


愛しながらも 傷めることしかできない事への自己嫌悪か


ウニョギヒョンの まっすぐなまなざしは


「俺なら もっと大切にできる」 と 叩きつけられた挑戦状のようだった



俺の愛は 本当の愛じゃないのか?


ただの欲望なのか?


黙って 俺に応えてくれるあの人を 振り回しているだけなのか?


ウニョギヒョンなら あの人を 本当に癒せるのか?



そして もうひとつの考えが 頭に浮かぶ


もし カンイニヒョンが あの人の想いに応えたとしたら


本当は それこそが あの人の望む一番の幸せなのか?



その可能性だって ゼロじゃない…




急に降りだした雨が 窓を叩く 


俺は 目を閉じ イヤホンをセットすると


自分の心すら 遮断するように ボリュームを上げた…




ガタンッ…   道路の段差で 目が覚める  いつのまにか眠ってたのか



そっと振り向くと あの人はウニョギヒョンの肩にもたれて眠っていた


安らかな寝顔は いつもと同じ…


ヒョンも あの人の頭に 自分の頭を傾けている


そしてその手は あの人の手をしっかり握っていた…



「ヒョクは 大切な友達」  あなたはそう言ったね…


でも ヒョンがあなたをどう見ているか 気づいてないの?


罪だよ それは…




どうすることもできず 俺は前を向き もう一度目を閉じた


こんな事 なんでもない… そう言い聞かせる


俺たちの関係は そんなものじゃ揺るがない


そう呟いて 強がってみた





「キュヒョナ、 後ろの二人 気になるよなぁ…」


「えっ…?」


「俺も気になるよ…最近 近いよなぁ その二人…」




眠っているとばかり思ってたドンへヒョンが 小声で囁いた




「そうですかね… 」


「ヒョクは 前からヒョンのこと よく気にしてたけど、


 ヒョンの態度が 何か前と違うんだよなぁ…」



心臓が ドキンっと鳴る音を 聞いたようだった



「…どう違うんです?」


「自然じゃないんだよ、変に意識してるって言うか…


 二人の間に何かあったのかなぁ…ああやってると まるで恋人同士だな」


「……」




悔しいというのも違う  嫉妬と言うだけじゃ足りない


複雑な思いが 俺を無口にした…





「お前… ソンミニヒョンが 好きか?」


「えっ…?」




思わず絶句する  顔が 硬直する




「さっきの お前の顔 切なそうだったよ…」


「…勘ぐりすぎですよ…」


「そうか… まぁ いいけどな…」 




ドンへヒョンは 遠くを見るような眼で ふぅーっとため息をついた




ウネは 営業用って言ってるけど ヒョンの気持ちは 見え見えだよ


俺の気持ちも こんな風に 見え見えなのか…


そう思うと いっそのこと 全部さらしてしまいたい気持ちになる


そうできたら どんなに楽だろう… そんな誘惑に苛まれる




それだけはダメだ… あの人を 守るため 耐えなきゃいけないんだ


俺が今 あの人のためにできることは それぐらいしかないから…