「もういいです! 俺 出ますから 」
掴んだあの人の手首を 放して 俺は立ち上がった
「待って! もう少し ここにいて」
今度は 逆に ギュッと手を掴まれた
つないだ手 狭い浴槽で 触れる身体
抱きしめたい衝動に 胸が締め付けられる…
「ソンミニヒョン…」
「…何?」
「…カンイニヒョンでしょ?」
「……」
やっぱり…
でも それだけは 違うと思いたかった…
だって あまりに違いすぎるじゃないか 俺と…
熱くて 裏表のないストレートな性格
優しくて 男気があって 純粋で
それに 逞しい身体… 俺とは 真逆の人だ…
でも あのヒョンは 男同士の恋愛なんて 受け入れないと思う
「ソンミニヒョン、何でカンイニヒョンなんですか?
あの人は 応えてはくれませんよ…」
俺は酷い…
あの人が傷つくとわかっていて それでも言わずにいられなかった…
「…うん、僕も そう思ってるよ…だから 誰にも 何も言えなかった
でも もう苦しくて…本当は ずっと 自分の胸に鍵をかけるつもりだった
キュヒョナ、ごめん 秘密背負わせちゃって…」
消え入りそうな 儚げな声に 俺の胸は痛んだ…
「ヒョン、そんな恋やめた方がいい 傷つくだけだよ
他にもっといい人がいるから…」
「そうかもね…
あの人を好きって思ったのは あの人の入隊を見送った時なんだ…
それまでは 大好きなヒョンって思ってたのが 逢えなくなるって思ったとたん
苦しくなって… こんなに好きだったんだって 自分でも戸惑って…
逢えない間は 本当に辛くて 逢いたい 声が聞きたい
いつもみたいに 『ソンミナ』 って 抱きしめて欲しいって…」
大好きな人が 他の誰かを想ってるというのに
俺には その話を黙って聞くより他はなかった…
「だから よく不安定になったり 落ち込んだりして みんなに心配かけた…
そんな時 キュヒョナはいつも 側にいて 優しくしてくれて 助けてくれたよね
ありがとう… ごめんね…」
俺は そんなことにも気付かずに ただあの人に夢中だっただけ…
ただのバカだ…
「あの人が帰ってきたら 辛い気持も終わるって思ってた でも違った…
あの人が側にいて 笑ってくれたり 肩を抱かれたり そのたびにドキドキして
でも 気持ちを伝えるなんて やっぱり出来なくって… 余計に辛かった
男なのに 男を好きになったこと自体 おかしいんじゃないかって
自分のことも 嫌になって… 」
俺の手をにぎったまま せきを切ったように吐露するあの人が
儚げで 愛おしくて … もう我慢できなかった
この人を 抱きしめてあげたい
それが この人の望むことかは分からない
でも 抱きしめずには 居られない……
「ソンミニヒョン…!」
俺は あの人を
あの人の 裸の身体を 強く抱きしめた…