しわくちゃ | きゅっきゅ8のえんがわで

きゅっきゅ8のえんがわで

人生は演劇だ。社会劇場、世間の目を観客に、何者かを演じて生きる。無限大の可能性を信じて、制服に征服されぬよう、着たい服をまとい息をする。こころの店、きゅっきゅ8(きゅっきゅや)のえんがわで、うたたねしながら感じる音や光。
ゆき過ぎる日常をたねに、うたう。



指を広げて

てのひらのシワを数えてみた


信頼されて
成功して
誉められて
嬉しくて

心にシワが増えていく


裏切られて
失敗して
悲しくて
傷ついて

心にシワが刻まれていく


ボロボロになった
何かを隠そうと

届いたばかりの新聞で、きれいに包んだ

かしこまった
ぎこちない姿

それはそれは、窮屈そうだった


思いっきりぐしゃぐしゃにした新聞を

シワだらけの
てのひらで丁寧に広げて

包んだ


数えきれない大きな小さなシワたちが

それの形に寄り添って

優しく包み込んだ


シワシワのぐしゃぐしゃを

広げて包んだものは

心地よそうに微笑んだ