膵臓はお腹の奥に位置するとても小さな臓器で、がんになってもほとんど自覚症状がないらしい。

血液検査による腫瘍マーカーやその他の検査などの精度も低く、なかなか見つかりにくい。

さらに、膵臓そのものが小さい上に周りの血管やリンパ管が多く、浸潤や遠隔転移しやすいことが問題のひとつ。

周囲に神経も多く通っているため、神経に沿った浸潤も起こしやすいのだとか。

肝臓など他の臓器に転移したがんが見つかり、膵臓がんが原発だったと分かるケースが多く、そんな理由から、膵臓がんは腫瘍の大きさが2cm未満のステージⅠであっても進行がんとされ、5年生存率が60%以下というとても厳しいがん。


非常に転移しやすいがんといわれる膵臓がん。

特に多く転移するのが肝臓や腹膜、胃、骨、リンパ節など。

ほかにも、脳や肺などに転移する事も。



妹の場合は、自覚症状があっても大きな病院で検査などせずにいたので救急車で運ばれた時には倒れる寸前だった。

その時にエコーで簡単に検査したところ肝臓にこぶし大の腫瘍が見つかった。

そして入院して一週間後に呼吸が止まってしまい、なんとか息は吹き返したものの、人工呼吸器の管を入れざるをえない状況だった。

本当にギリギリの状態で仕事をこなし、普段の生活をしていたという事に私も母も心底驚いた。

最終的には母が見るに見かねて救急車を呼び、なかば無理矢理に妹を病院に連れて行ったのだが、その2日前まで仕事にも行っていたし数週間前には友達とカレーを食べに行っていた。

本人がどれだけ我慢していたのか私にはわからないのだけれど、穏やかで優しそうな主治医の先生に「我慢し過ぎ」と怒られたというのでよほどの事だったんだと思う。


とにかく、検査入院から心肺停止、そして蘇生と、本当に短期間に色々な事がありすぎて私と母も生きた心地がしなかった。

宙に浮いたような、現実が現実と思えないような、そんな一週間、二週間を過ごし、口に入っている管が取れて酸素マスクのみになった時には、残念ながらすでに会話が出来るような状態ではなくなっていた。