「政治家の不祥事」は自分事として… | 佐世保市議会議員 橋之口裕太の熱血通信!!

佐世保市議会議員 橋之口裕太の熱血通信!!

元高校教師の新たなチャレンジをお伝えします!!

現職議員の逮捕という衝撃的な出来事から一夜明け、佐世保市議会には会派をとわず沈痛な、でも何かモヤモヤとした空気が流れています。


昨年行われた12月定例会の一般質問において私は「市職員の資質向上について」という質問のなかで、段取りにはなかったのですが、直前に続いた市職員の不祥事に対して、議場の空気に感情的に「緊張感がない」と生意気に指摘をしました。


朝長市長は「99%の職員は一生懸命であって、このような(不祥事をおこす)職員は迷惑である」という趣旨の発言をされました。


あれから、2ヶ月もたちませんが、同じ立場の議員が逮捕されたということは、まさに私の発言がブーメランとして戻ってきて「市議会議員自身はこのことをどう受けとめ、どう行動するのか」という市職員、市民のおもいが私たち議員に突き刺さったと思っています。


ただ、私自身恥ずかしいことに「賄賂(わいろ)申し込み」とい行為と、その申し込みという行為事態が、犯罪であると言うことを「議員逮捕」という事実と報道からはじめて理解したところです。


政治家になる前は、「政治家なんだから知らないことなんてないはず」「問題が起こるとなんでも秘書に押しつけて」といった感想を持っていました。


しかし、教師となるために、大学で教職課程で関連する法律や知識を学び、またその専門性を有していることを証明する資格も試験も、政治家になるためには必要ありません。


あるのは、選挙に当選することだけです。


結果として、私のように、教師から政治家になる人。サラリーマンから政治家になる人。農家から政治家になる人など、政治家の世襲が批判される現在にあって、本人も、家族も、友人も政治の世界に無知な人たちも多くなりました。


選挙にも細かくルールはありますが、政治家になってさらに驚くことは、公職選挙法という法律を中心に、様々なルールが定められているということです。


例えば、教師を退職してお世話になった人(実習先など)に手紙(挨拶状)を出そうとしましたが、


政治家は当該選挙区(佐世保市議は佐世保市内)内にある者に対し、答礼のための自筆によるものを除き、年賀状、寒中見舞状、暑中・残暑見舞状その他これらに類するあいさつ状(電報その他これに類するものを含む)を出してはならない。


と公職選挙法で決められていますので出せませんでした。


同じ理由から、毎年出していた暑中見舞い、年賀状も出しませんでした。


私は野球部の顧問をしていましたので、最後の夏の大会を迎えた教え子たちに飲み物を差し入れしたいと思いましたが、政治家の寄付は禁止されています。


選挙管理委員会に、教え子への差し入れは違反になるかと確認したところ、「違反になる」と教えてもらいましたので差し入れはできませんでした。


また、同じように祭りに「おはな」を出すことは「違反になる」、行事に参加して、参加費をとらないところに「寸志」を出すことも「違反になる」など、選挙管理委員会にその都度確認、確認をしながら、知らない、または気づかないうちに、法を犯すことながないように気をつけています。


このように、公職選挙法の一部を紹介するだけでも、社会人として、常識またはマナーとして求められることや慣習としてまた文化的に求められることであっても、政治家は禁止されていることがあります。


退職して挨拶の手紙もない、選挙に当選しても手紙もだせない、年賀状もだせない、教え子に飲み物一本差し入れできない、地域の祭りに寸志もおはなも出せない…


普通だったら、逆に社会人としての常識を疑われそうですが、政治家はそれを守らなくては「政治とカネ」「カネをまいた」「禁じられた選挙運動」などなど、するどく批判され、場合によっては、政治を辞めなくてはいけなくなります。


昨日のブログで「政治家は窮屈な生き物」と表現したのは、このようなことも含まれます。


では、誰がこのように、複雑でわかりにくい「公職選挙法」などについて指導してくれるかといえば、多くの議員は、先輩議員に指導を仰ぐことになると思いますが、先輩議員自身が法令遵守に消極的であったり、知識に乏しいこともあります。


昔は許されたていたことが、現在では許されないこともありますが、法が改正されたことを知らなかったり、白黒はっきりしないところは、「グレーは大丈夫的」な感覚をお持ちの議員もいると思います。


会社では、新人教育などで関連法令や就業規則などを学ぶこともあるかもしれませんが、佐世保市議会ではこれまで新人を対象にしたそのような研修はありませんでした。


たぶん、全国の市議会レベルではそのような法令遵守を徹底するために研修を行っているところは少ないと思います。


現状では「議員は公職選挙法については当然理解しているもの」として、それぞれが独学または選挙管理員会にひとつひとつ「やっていいこと、ダメなこと」などを慎重に確認をしながら事をすすめるしかありません。


議員の不祥事を無くすためには、それぞれ議員が、公職選挙法など法律について、しっかりと理解を深めることが必要ですが、議会全体として規範意識を高めるための取り組み、(一同に会して研修を受け、最新の知識や綱紀粛正についておもいを共有すること)も必要なことだと思います。


政治や市議会への信頼を揺るがすピンチを、信頼を高め期待される議会とするチャンスとしなくてはならないと思います。