小噺

■ハイジャック

テロリスト
「早くやれ、
この飛行機をロンドンへやれ!
もたもたすんな、ロンドンへやれ」

機長
「馬鹿なまねはよせ、
この飛行機はロンドン行きだ」


■病院

患者
「先生、私、
いつもコーヒーを飲むと、
右目が痛むんですよ」

先生
「あら、そうですか。
じゃあ、
普段されてるように、
コーヒーを飲んでみて下さい」

・・・

先生
「あなた!、
コーヒー飲むときはスプーン取らなきゃ」


人間って、
わきから見てると
信じられないような、
もっと言うと
あとから自分で聞くと
信じられないようなことって

ほうぼうで言ってるような気もしますね。




「お待ちどう様でした、
新大阪まで、
大人二枚、子供一枚ですね、
ありがとうございました。
次の方どうぞ」

中年の婦人
「ちょっと、あなた!、
見てなかったの、今の人。

途中から割り込んで入ってたのよ、
15~6人、先のほうからスーっと
なにげな~く、割り込んで。

見てなきゃだめじゃないの、

みんなムッとしてるのに。

成田の税関やなんか、
みんな見てるって言うわよ。

そうよ、スーツケース開けて、
中を調べてるような顔をしながら、
その人はどうでもいいんだって、
スーツケースの持ち主は!。

こうやって調べてるときに、
列に並んでる人が怪しい動きをしたり、
どこかへいなくなったりしないかを、
チラ、チラと横目で見ながら、

こっちの仕事もしてるんですって。

ほんとに、さすが成田の税関よね」

・・・

「切符ですか?」

「あら、ごめんなさい、
火曜日、鎌浦まで大人二枚、
お願いします」

「えーと、鎌浦まで、大人二枚、

来週の火曜日ですか?」


「先週なわけないじゃない」

・・・

「えー、何時くらいのがよろしいですか?」


「何時のがあるの?」


「えー、ほぼ一時間ごとに出てますけども」


「五時半には着きたいのよね」


「五時半に鎌浦となりますと、えー」


「そうじゃないのよ。

山水荘、
いい露天風呂があるんですって。

うちの母親が行きたがってんのよ。

母親たってあなた、
亭主の方の母親よ。

もうほんとに、
肩が痛い、腰が痛い、膝が痛い、

痛くないとこから先に言えというような
母親なのよ~。

それが神経痛に効くいい温泉があるから、
なんとしてでも山水荘に、って。

あたしは無理やり、

いやいや付き合うのよ。」

・・・

「えー、その宿から駅まで、
どれくらいなんですか?」

「あ、ごめんなさい、
そうよね、そうよね。

パンフレット持ってるわよ。


三十分ですって。」

「でしたら、
5時に鎌浦となりますと、
えーーと、

はましお9号、14時19分、

これいかがですか?」

「大丈夫かしら、4時で」

・・・

「14時です、、、2時19分です」

「あらま、
なによ、専門用語使って」

「専門用語じゃないですよ!、

よろしいですか?、
えーそれでしたら、
大人二枚ってことですね、

えーっと、
あーっと、

これ、
いっぱいですねぇ」

「なぁに?」


「グリーン車、普通車ともいっぱいですね」

「なに?、
席がないの?」

「そうですねぇ、自由席しかないですねぇ」

「自由席、座れるの?」

「いやま、
座れるかどうかはその時次第ですけども」

「だめじゃないそれじゃあ、

もう、
膝が痛い、腰が痛いって言う母親と、
ずっと立ってくわけにいかないじゃないの」

・・・・

「どうなさいます?」

「どうしたらいいの?」

・・・・
「えー、一本早いのになさいますか?」

「あ、それお願いします」

「そうですか、ちょっとお待ち下さいませ、

えー、13時21分てのがありますね、
はましお7号ですねぇ、

あぁ、

これも、
いっぱいですねぇ」

「ちょっとあなた!、

さっきから聞いてると
いっぱいとか満席とか、
いろんなこと言ってるけども、

ねえ、

わたし、
ラジオかなんかで聞いたことあるわよ、

あるんでしょ?、

そういう時でも、

国会議員の席は。


ね、
わたしそれでいいから」

・・・

「えー、どうなさいます?」

「だから、
どうすればいいの?」

「じゃ、
もう一本早いのになさいますか?
えー、もう一本前、、、

12時台は~、
あ~、無い、ですねぇ、

11時台はと、」


「ちょっと!、
なんで、12時台がないの?」

「そういうダイヤですから」


「ダイヤもパールもないじゃないの。

走らせてほしいじゃない、

あなたね、あなたね、

いい?

スーパー行くでしょ、
コロッケが売り切れてるでしょ、

その場で揚げてくれるわよ。

なんでこうして乗りたい人がいるのに
走らせないわけ?、
JRは!」

・・・・

「えー、どうなさいます?」

「だって、
だからなんで12時台がないの?
ほかのはないの?」

「お客様、恐れ入ります、、、

ちょっとそちらの方で、
申込み用紙にもう一度、
書き直していただいて、
並び直していただけますか?」


「ちょっとあなた!、
なんてこと言うの?
並び直すって、わたし、

ずっと並んでここまで来たんじゃないの。
それをなんで並び直さなきゃいけないのよ。

なんなのよ、無いって!。

無いのがおかしいんじゃないのって、
いま話し、

あー、わかりました、

じゃあ、わかりましたわ。

書き直しまして、並び直すのね。

並び直すのはいいけど、

なんで?
書き直した人だけの専用の列がないの?
なんでみんなと同じに並ぶの?

やーよ!、わたしほんとに。

いいわよ、
書き直すわよ!、
並び直すわよ!。

でもね、
これだけは、
あなたに断っておくわよ!、

並ぶときはね、

割り込むわよ!!」


・・・・

「はい、次の方どうぞ」


老夫婦が立っている。

老婆
「はぁ、よろしくお願いいたします、
あんた、こっち来てて。

来月の25日に、ええ、二人でもって、
お、大分へ、九州で、
はい、行きたいと思っております」

「あ、そうですか。はいはい。
それでしたら東京から博多までは新幹線で、
残りは在来線でよろしいですか?

はい、わかりました。
来月の25日、はい、

えーと、
何時のがよろしいですか?」

「あんた、早いほうがいいね、ねえ。

はい、
なるべく早いほうがよろしゅうございます」

「あ、なるべく早いほうがよろしいですか。

でしたら、、
始発でもよろしいですか?

よろしいですか、はい。

6時に、ございます、はい
じゃそれ、お取りして、

あ、間違いなくこれは取れますので、
大丈夫でございますので、

空席はたっぷり空いております」


「あの、
あの、
あのぉ、

恐れ入ります、
孫が、
福井におりまして、

孫も、
いっしょに行きたいなぁと、

思っております」


「あぁ、はいはい、
お孫さんが福井にいらっしゃる?、

えーと、
となりますと、

お孫さんには、
京都まで出てきていただきましょうか」

「あのぉ~、
ねぇあんた。

小学3年生なもんでございますから、
できることでしたら、

このじじばばが、

迎えに行ってやりたいなぁと」

「あぁ、
そうですか、
はいはい。

えー、

それでしたら、
じゃ、

お二人はいったん新幹線、

京都から北陸線に入って
いだきましてですね、

それで福井でもって合流されて、

そのまま、よろしいですか?、

その日に戻っておいでになるということで、
じゃ福井から京都まで
別に在来線の分を~」

「あの~、
あんたが言ってくれないから、
あたしの前に先に気が付いてくれなきゃあんた、

あのですねぇ、
その孫の親であります娘夫婦が、

あの~、
いっしょに行けたら、いいなぁと、

ねえ、あんた」

「はぁ?、
そうしましたら、

福井の方でそのお子さんと、
つまりお孫さんと、

それからお父さんお母さん、
大人二枚に子供一枚、

ということになりますか?」

「いえあのぉ、

その娘夫婦が、
その~、

長野におりまして。

できることならいっしょに行きたいなぁと」

・・・

「はいはい、、
・・・

ということは、
長野にいらっしゃるお父さんお母さん、

、、、?

どういうわけで離ればなれに?」

・・・

「言わなきゃいけませんか?」


「あ、ごめんなさい、ごめんなさい(笑)

そこ気にするとこじゃないですよね。

ごめんなさい。

ということは、
お父さんお母さん、

始発をやめられて、
お父さんお母さんがぁ、

長野から新幹線でこちら、
東京においでになって、

間に合う時刻で、
あの、
四人で福井の方に行かれると」

「あの~、
できることでしたら、

あの~、
長い間、離ればなれなもんですから、

福井で孫乗せて、

長野のホームで、
驚かせてやりたいなぁと。

ねえ、
あんた、ねえ!」


「ということはあの、

お二人はぁ、
ですね、

東京から京都まで行かれまして、
それで福井でですねぇ、
お孫さんと合流なさって、

それから北陸本線に入りまして、
それから信越線に入りまして、

長野で、
お父さんお母さんとお会いになって、

いっしょに、
これやっぱり、

東京に戻っておいでになって、
それから博多の方へ、

ということになりますが、
よろしいですか?

いえいえ、
いえ、
こちらの方はよろしいですよ、はい。

いまあの、
周遊券の適用とかいろいろ見ますので、

えーっと、
周遊券の適用はできると、思います。

はいはい、
いえ、構いませんですよ、

そりゃ別に、
いろんな切符の取り方がありますから。


これ、お断りしておきますが、

本州、

本州を、

半周するような形になりますが、

よろしいですか?

そうですか。

いえいえ、

財力もさることながら、

体力がどうかな~と、
思うのですが、

まあ、まあそれは大丈夫です、

あの、今出てまいりますから」


「あの~、
あんたが、もうあんたが早く言わないから、

あの、あのぉ~」


「はい、あと、
どなたが合流なさいますか?(笑)」

「いや、
合流じゃないんですけども、

あの~、
その25日ですけども、

あの~、

大安でしょうか?」

「それはちょっと、

ここではわかりかねますが」

「あ~、
そうですか、

あんたがまた調べてこないから、
ほんとに!、

申し訳ございません~、

いろいろもう、、
仏滅だったりしたら大変なことになりますので、

それじゃあの、
いったん家に帰って調べてから、

また参ります、

どうもありがとうございました」


「ちょちょ!、ちょっと、

お客さん、お客さん!、

・・・・

あ~、出る出る、すごいなぁ~、

え?使う?

使わないだろ?

ん~?、

絶対使えないチケットだと思うよ、これ。

まいったねぇ、ほんとに」



職人ふうの男
「よう!こんちわ!(笑)」

「はい、
えー、どちらまで?」

「おぅ、こっちが、
よ!こんちわ!って
入ってきてるのに、

どちらまで、なんて。

へい!いらっしゃい!

くれぇのこと言えよ(笑)おい」


「えー?」

「イマムラまで行きてぇよ、パーっと、

活きのいい列車入ってるか?」

「なんでしょう?、
その活きのいい列車?」

「特急だよぅ!、おまえ(笑)、

月にロケットが行こうって時代に

どんこうだぁ、
干物みてぇなのに乗ってられるか(笑)

たーんと、一番速えやつ!、

いまから間に合うやつ、
とーんと、大人一枚、頼むぜ!」


「わかりました、今村ですね。

えーっと、
ちょっとお待ち下さい。

えー、
あ、間に合いますね、

10時58分、
これ間に合いますね。

えーと、一枚ですね大人、

はい、
えー、
あーー、

無い、ですね、これ。」

「なんだい?無いって、

え?切符が無いっての?

満席?いっぱい?

あぁわかった、
おりゃあ、芯が利口だから
そんなわけのわかんないこと聞いちゃいねぇよ。

ねえものは、ねえと、
わかった!

よし、五番な、五番の窓口にはねえと。

さ、何番行きゃあいいんだ?」


「いえいえ!、ございませんよ。」


「わかってる、

同じこと何べんも言うなよ、
この列にはねえんだろ?

だから、どこ行きゃあいいんだ?

何番にあるんだ、早く言えよ!」


「いや、何番に行かれても無いですよ(笑)」

「でっ、東京駅にねえのか!

まいった、

今から有楽町行くのやだなぁ」

・・・

「ゆ、有楽町に行かれても、
無いですけども」

「なんでそんなこと、
おめえわかるんだ、
そこで。

そこで座っててなんでわかるんだ?」

「いえいえ、コンピュータですから」

「誰が、金比羅様の話してるんだ。

そうじゃねえよ、
今村までの切符が、」

「いや、ですから、
ございませんよ」

「わかってるよ、
無いんだろここに。

この列にはねえんだろ?、

どこ行きゃあるんだ?」


「・・、無いですよ!」

「東京駅にねえんだろ、
だから有楽町行かなきゃ
しょうがないって言ってんだよ!」


「、、行かれても、無いですよ、、、」

「なんでそこにいて、
おまえわかるんだ、それが!」

「いや、、、
コンピュータですから」

「だから、
金比羅様の話はいいって言ってんだよ、
わかんねえなぁ!」


「わかるんですよ!」


「なんでそこでわかるんだって?」

「つ、、つながってんですよ」

「あたりめぇじゃねえか、
線路はつながってらあな、おい。

そんなことじゃねぇ、

おまえはそこに座ってるくせに
なんで有楽町のことが
わかるんだって聞いてんだよ!」

・・・
「いや、これでわかるんですよ」

「ん?、その箱の中に切符入ってんだろ?、

ちょっと、出せよ、
その箱の中に入ってる切符を!」


「いや、、切符は入ってないんですよ」


「何言ってんだ、
さっきから見てたら、
前の客に、どんどん、どんどん、
出してるじゃねぇか

そこの箱から、
そっから、切符出してんじゃねぇか。

ちょっと、
その箱、開けろよ。」


「いや、開きませんよ」


「ん?、カギかかってんのか?」

「いや、カギとかなんか、
かかってるわけじゃないです」


「カギもかかってないのに
開けられないってことは、

なんか悪いことしてるんじゃねぇか?

おまえの好きな切符だけこうやって
集めてるとか、自分で。

おまえ、
どうでもいいけど、

開けて、

おまえが持ってる切符を
ここに全部並べろよ!

早い話が、
俺がほしいって言ってるのに、
おまえが持ちながら、

あるとか無いとか言うんじゃねぇよ。

おめえが持ってるものをまず並べて、
俺がこれだとかこれだとか言うのが
買い物じゃねえか、

出せ、出せよ!」

「いや、これは開きませんよ」

「だから、
カギがかかってんのかっつんだよ?」

「いや、カギなんか、かか、」

「カギもかかってないのに
開けられないってのは、
おめえ、どういう?、

ほんといったい、
おめえ何考えてるんだ?

え?
顔は穏やかそうな顔しやがって!
なんか企んでるんだろ?」

「いや、そうじゃなくて、お客さん~、

そうじゃないんですよ。

ちょっと、

後のお客さんも、
ニヤニヤ笑ってなくて、

なんか言ってあげてくださいよ、
お願いしますよ~」


後の客
「売ってやったらどうなんだ!」


「ちょっと、
お客さ~ん!」


「お客さ~ん、じゃねぇよ!、

聞いたか?今の言葉、

ありがとうよー、
でもよ、おまえたち、
ここに並んでたって無駄だぜー、

こいつはよー、
切符の入ってる箱を

開けるつもりはねぇからよ!、

みんなでこれから、
有楽町行こうよー!」


・・・・・・


「ありがと、ありがと、グビっ、
はぁ、よく付き合ってくれたな、
急に電話したのによ、
よく来てくれたなぁ、

ほんとにやってられないよぉ~」

友人
「いいよ、いいよ、
ほんと、おまえだから務まるんだよ、

おまえみたいな温厚なやつじゃなきゃ、

みどりの窓口なんて務まるもんかい。

えっ、
俺なんか気が短いから。

いろんな種類の人間が来るんだろ、
ありとあらゆる血液型が来るんだろ、

そんなもの話なんかできないよ俺なんか、

ええ?、

ほんとだよ、男だ女だ、
じいさんだ、ばあさんだ、子供だ、
ええ?、

あぁ、すんませんすんません、グビっ、

おまえだから相手できるんだよ、な、

俺なんかリストラに遭っちゃっても、
とうていみどりの窓口なんかにゃ
勤められないと思うよぉ」


「ありがとう、
おまえがそう言ってくれると
ありがたいけども、な、ほんとに

あのな、
相手が外国人なら仕方がないよ、

でも、
日本人だぜ、

日本人でそんなバカな、

しゃべってる言葉は通じてるのに、
中身は全然通じてないんだぜ、

持ってる切符を並べろ!だぜ、

八百屋や魚屋に来てるんじゃねえよ、

信じられない、
そういうやつが未だに
世の中に生きてると思うとさ、

えぇ、
あきれ返ってほんとに。

ありがとありがと、

付き合ってくれて、
スーっとしたよ。

な、今日は、俺、おごるから、

さ、
飲んでくれ、飲んでくれ、
食ってくれ、食ってくれ。

え?あ、あれ注文しようか、
わかさぎ!、
産地直送、280円!

うれしいな、
大好きなんだよ、わかさぎ、

わかさぎはフライだよ、

え?
よくわかさぎを天ぷらにするって
バカがいるけど、

天ぷらじゃねぇよ、
あれは。

わかさぎといえばフライになるために
生まれてきた魚だぜ、

あれを天ぷらなんかにしちゃ。

わかさぎってのは絶対フライだよ

そう思う?そう思う?(笑)

あぁ、うれしいな

じゃ、思い切ってだーっと、
二人前いっちゃおうか、

お兄ちゃん、お兄ちゃん!」


「へい!、どうも、
なんに致しましょう?」

「あのね、ええっと、
おちょうしを、ん?あぁ、

じゃあ二本もらおうか、

おちょうしを二本!、

それから、
産地直送!、
わかさぎのフライ!!

だーっと、

思い切って、
二人前、

いっちゃおう!」

「あぁ、お客さん、
申し訳ないですねぇ。
切れちゃったんですよ。」


「、、切れたの?

あぁほんと、

じゃぁ、つないで来てよ」


「いや、あの、
そうじゃないんですよ、

終わっちゃったんですよ」

「じゃ、始めてよ!」

「なくなっちゃったんですよ」

「探してよ~、

いやいや、
売り切れなんてうそだよ、

見てよ、
あの札のかけ方!、
売り切れのかけ方じゃないよ、

ほかのなんか、
裏返しになってるのもありゃ、
バツしてるのもあんじゃない、紙で。

頼むよ~、
あると思うから頼んでんじゃない?、

大好きなんだ、大好物なんだ、な、な、

今、話してて、
頭ん中わかさぎでいっぱいなんだよ、

頼むよ、
お兄ちゃん、ねぇ。

こんだけあんだから、
厨房行けばなんかあんだろ~よ、

短くても大きくても長くても、
なんでもいいんだよ、

ね、とにかく頼むよ~」


「お客さん、
な、無いものは無いんですよ、

売り切れちゃったんですから」

「売り切れちゃったんですからって、
お兄ちゃん、

そりゃないだろうよ、え?、

頭の中いっぱいになって、もう、

かわさぎしか食べられない頭になってるのに、

今からなんか他の出されても、

あ、
ごめんごめん、お兄ちゃん、
大きな声だしちゃって、
つい、カーっとしちゃってよ。

お兄ちゃんだってわかるよな?、
無い無いと言いながら、

あるんだろ?、ほら、


国会議員の分が!、

な、それでいいからよ、
そ~っと出してくれよ」


「いや、お客さん、
居酒屋に
国会議員のわかさぎとか無いですよ、
冗談としちゃおもしろいですけど、
そりゃ無いですよ」

「冗談で言ってんじゃねえよ、
お兄ちゃん、

ほんと食べたいんだよ、

あに言ってんだよ、
スーパー行ってみな、
コロッケが売り切れたって、
揚げるぜ、その場で!

なに言ってんだよ、
食べたいんだよ、
出してくれよ!」

「ちょっとお客さん、
無いものは無、」

「無いものはないんじゃないよ、
もういい、いい。

ぐずぐず言うな、

おまえ、

厨房入って、
おまえの持ってる魚、
全部ここへ出せ!

俺が好きな魚選ぶから。

おまえとこうやって話してたって
しょうがないんだから、

あれがあるとかあれが無いとか。

とにかく厨房で入ってる、
とにかく、
ありったけのわかさぎ出せよ!」


「だから!、
わかさぎは無いんですよ!」

「なんで無いんだよ!」

「だから、、
仕入れに行けなかったんですよ!」

「仕入れに行けなかったぁ?

おまえが寝坊したからか!」


「そんな、
寝坊したとかなんとかじゃないんですよ、

親父、親父ぃ~!、」

店の親父
「なになに、なに?」

「このお客さん、
わかさぎのフライ、

売り切れだって言ったら、

なんで売り切れなんだって
もう怒っちゃってんだよ」

「えー?

お客さん、

まあまあ、
怒られてもしかたがありませんけどね、

ねえものはねえんですよ!」


「ねえものはねえんですよ?

それで済んじゃうのか、この店は!

こうやってちゃんと掛けてあっても。


冗談じゃないっつんだよ、ええ?!

なんで無いんだよ!」


「だから、
仕入れに行けなかったんですよ」


「仕入に行けなかったぁ?

寝坊して行けなかったのか!!」


「寝坊して行けなかったぁ?

冗談じゃ、、、
そこまで言うんなら言うよ!!

なんで行けなかったか知りたいか!」

「あー、

知りたいね!!」


「あ、そう!

言ってやろうじゃねぇか!


みどりの窓口の職員がな!

切符の入ってる箱を

開けてくれなかったからだ!」


チャンチャン!