だいたい、突然の入院というのは
ワタシの大好きな『起こりうる状況の空想と想定』という楽しみを奪う

つまり『準備』が大好きなのだ

今回、一番失敗だったのは、持ってきた本の選択
そしてテレビドラマ
前にも書いたけど

少女たちのすべての空を奪う国家

消灯後の病室でイヤホンして観るドラマの冤罪捏造シーン
騙し騙されの国際組織

古い映画の記憶がどんどんよみがえり
1984とか未来世紀ブラジルとかさ


だいたい、前の入院の時もそう

梨木香歩の『沼地のある森を抜けて』を、手術直前まで読んでいたせいで
麻酔から醒めたときの感覚が
ゴボゴボと沼の底から重い水を掻いて浮き上がる気分
それでもうまく空気が吸えず、恐怖でしかなかった
体内から出て肺呼吸に切り替わる赤ん坊か

もっと娯楽性のあるもの、明るく元気なマンガにしようよ
(そういえば前回の入院でそれを求めたら、息子が届けてくれたマンガが『蟲師』だったのはイヤガラセ?)

『よつばと!』とか最適では


病床不足の中、選択肢のない二人部屋で
認知の老婆のオムツ、呪文、魂をすべて吐き出すようなため息
昨夜は食器をテーブルに打ち付けはじめ
フレディ•マーキュリーが降りてきたかと思った
おかげで看護師たちにベッドごと連れ去られ
残ったスペースにはちらかったティッシュ
テレビの周りには娘と写真館で撮ったであろう写真立て
氷川きよしのブロマイド多数
彼女の人生をあれこれ想像し、熟睡

見ず知らずの疾病老人独特の体臭の中で蟄居する耐え難さ、これがすべて

前回はこんなに苦痛ではなかった
コロナで他人の呼吸や接触を気にしすぎるようになった弊害
もう満員電車には乗れない
コレジャダメダネ


入院は
自分の勝手さがよくわかる
個室アケテ~~