春の日の夕暮



トタンがセンベイ食べて
春の日の夕暮は穏かです
アンダースローされた灰が蒼ざめて
春の日の夕暮は静かです

吁!案山子はないかーあるまい
馬嘶くかー嘶きもしまい
ただただ月の光のヌメランとするまゝに
従順なのは 春の日の夕暮か





という一連の中原中也の詩を思い出す夕暮れです




秋だけど




今日は気になって気になって気になって仕方ない庭の草をほんのちょびっと刈りました




45literのゴミ袋3個こさえました、むしった草で




汗だくだったけど、そのまんま玄関に腰掛けて靴を磨いた




私は高くても気に入った靴を長くはきたい




てか、今は高い靴なんざ買えないんだけど




3~8年くらいたつ靴を全部引っ張り出して丁寧に丁寧に磨く




一番高いのは78000円のイタリア製




が、アウトレットの閉店セールでいちまんえーんになってたやつ




気に入ってた夏のサンダルのベルトがひっこぬけたのを、強力両面テープを精密ドライバーで突っ込んで直す






18か19の頃、ずっと興味深々で通り過ぎながら眺めてた靴磨きのおじいさん




ある日、意を決して台に足をのせた




当時持ってる中では一番マシな皮のコインローファーをはいていった




こんな若造小娘が、気分悪くさせてしまわないだろうか




いや、相手もプロだし、仕事だし




ド緊張して、でも好奇心がわらわら溢れ出して、2、3質問した気がする




会話までいかなかった




靴は想像してたほどピカピカにはならなかった



今でもガード下には靴磨きの方々がいらっしゃるんですか?
どうなんだろ、時代とともにいなくなってしまってるの?
不忍池のまわりのおでんの屋台とかは?




あの頃は時々浅草界隈まで出かけて、仲見世でヘンテコな靴を買ったりした




20年くらい売れ残ってんじゃないかっていうような靴
コッペパンに踵と紐がついてるような




浅草の裏の方だったか、靴の市みたいのにも行った記憶がある




みんな田舎から出てきた奴らが原宿だの六本木だのに出かけてた頃




私が行くのは新宿、中野、高田馬場、上野、浅草、そんなところばかりだったので、私のアパートに泊まりにきた田舎の友人たちをひどくがっかりさせたもんだ




私はすぐにディスコにもカクテルにも合コンにもあきてしまってたんだった





そうそう、靴



きれいに磨いて、明日仕事にはいていくのが楽しみだなー




気分がいいので唐揚げ揚げよう