「ソロスは警告する」 ジョージ・ソロス 著
「現在進行中の危機が一つの時代の終わりである。」
「私が本書の刊行を急いだのは、金融市場についての支配的な誤解のおかげで、私達が危機を迎えつつあるからである。現在の危機の結果、少なくとも現実逃避よりも現実直視のほうがどれほど重要であるかが明らかとなるであろう。」P245
支配的な誤解
合理的期待理論「すべての市場参加者は経済モデルを完全に把握し、すべての情報を合理的に利用して将来を予測するため、彼らの予測値と実際の予測値は一致する」
均衡理論「金融市場は均衡点に向かって収斂する」
→この誤った理論が複雑な金融商品や評価モデルの基礎
ソロスが主張する理論
可謬性「人間は間違いうる可能性がある」
再帰性「人間の思考と社会現象は互いに干渉しあう」
→「市場には上向きに正のフィードバックが作用する」のと同様に、「下向きにも正のフィードバックが作用する」…住宅価格が底を打つのはまだまだ先
現実味を増す「超バブル崩壊」
超バブルが育った三つの欠陥
①金融当局による度々の金融機関救済から生まれたモラルハザード
②金融市場のグローバル化によるアメリカ経済の悪化
③金融の自由化による信用膨張
+各国当局にかかる三つの制約
①不健全な金融商品の暴落
②低下するドル保有意欲
③各銀行の著しい自己資本の毀損
→「現在進行中の危機が一つの時代の終わりである」…アメリカが「支配国」として、米ドルを主たる国際通貨、準備通貨として成り立っていた相対的な安定の時代が終わりかかっている