双子を出産するにあたり、出産を受け入れてくれる病院は限られていた。
里帰りしようと思ったら、通える範囲にNICUがある病院はなく、何かがあったらヘリコプターでこども病院に搬送されるとのこと。
私の妊娠に大して興味を示さなかった実父。
それが幸いして、今の家から近い場所での出産を決めた。
産後は短期間ではあるが、実母が手伝いに来てくれることになった。
実母も帰って、生活も一段落したところで、夫が「少し里帰りしたら?」と提案してくれた。
あまり乗り気ではなかったけれど、一週間里帰りする事にした。
その時は実父も機嫌よく受け入れてくれたし、地元の友だちも会いに来てくれたりして、比較的楽しい日々を過ごしていた。
しかし、数日後に思わぬ事態が勃発する。
息子が「ロタウイルス」に感染したのだ。
激しい下痢と嘔吐が続き、娘を母に預け、息子を小児科に連れて行った。
息子の症状はすぐに回復に向かった。
しかし日を追う毎に娘を除き、私も含めた実家の家族全員が次々に同じウイルスに感染し、大変な事態に陥った。
そこで、実父の態度が一変した。
体調が悪いのは、あなたも私も一緒だよ…
自己中心的な父は、自分だけが苦しんでいると思いこんでいるだけなのだ。
義父と同じで、娘より息子に関心がある実父。
そして誰かが抱っこしていないとなかなか眠らない息子。
ちょうど実父が抱っこしている時に眠ってしまい、私は布団に連れて行くように指示された。
眠りが浅いことは分かっていたので、「もう少ししっかり眠ってからじゃないと起きてしまう」と何度も伝えた。
でも「早く連れていけ」と、頑として譲らない実父。
ここで言い争ってもらちがあかないので、私が息子を抱き上げた。
案の定すぐに息子は覚醒して、激しく泣いた挙げ句にまた嘔吐。
そこで実父がブチ切れた。
「お前は母親なんだろう!俺がせっかく寝かしつけたのに何故起こすんだ。子どもの世話もロクに出来ないなら、子どもなんて産むな!」
この言葉を筆頭に、真っ赤な顔をして酷い言葉で私を罵倒し続けた。
息子も娘もギャン泣き。
だから、もう少ししっかり眠ってからじゃないと起きてしまうって言ったじゃない。
全てが私の責任だと罵る実父。
もう既に1人では対処できない状態だ。
更に「うるさいから黙らせろ」と感情的に私をなじる実父。
私の反論なんて聞く耳を持たない。
もう此処には居られない。
私は両手で泣き叫ぶ2人の子どもたちを抱きかかえて、玄関の外に出る。
そして泣きながら夫に電話をした。
「もう無理。早く迎えにきて…」
あとは言葉にならなかった。
結局予定を1日繰り上げて、家にに戻ることにした。
この時の辛くて苦しかった気持ち、今でも消化出来ずにいる。
私は粘着質なのかもしれない。
だけど、どうしても忘れる事ができない。
この頃からカウンセリングを受ける回数が増えてきた気がする。
きこきこ