興福寺文化講座(東京)の「佛頭を撮る」に
6月29日(水)行って来ました。写真家の
小川光三さんの1時間の公演で、後半の30分は
仏像スライドショーでした。
小川光三さんはお顔のまんまるな健康そうな初老
という感じでした。公演のお題は「興福寺佛頭」
でしたが、内容は仏像全般の撮影秘話でした。w
黒光りする金銅仏に四角いライトを使用したら、
湿布薬を貼ったように写ってしまったとか、
(最終的に早朝お堂を開けて頂き、大きな鏡で
太陽光を堂内に反射させて撮影したそうです。)
仏像の撮影は首がポイントで、上からライティング
すると首が影になってしまうので、お堂と同じように
下からあてるとか・・・。

小川さんは写真家になる前に、日本画、その後
洋画を習われたそうで、その違いについてや
昔の日本人の演出力のすばらしさについて
お話されました。
日本画は線の構成で、余白のあり方を大事にする
のに対し、洋画は面で構成され、余白は何も無いと
いうことになる・・・。それと同じで、日本の仏像は
線が美しく、欧米の彫刻は面が美しいということで、
実際、ミロのビーナスを撮影することになった時、
どうやってライティングし、撮影したらいいのか
大変悩まれたそうです。(最終的にはどうなったか
不明ですが、お断りしたとも言っておられました。)
演出といえば、建築物の話ですが・・・
平等院の鳳凰堂はやや北向きの東向きに建って
いるので、5月頃に太陽の光が東から上り、
ちょうどお堂の正面あたりに当たるそうです。
光が池に反射して堂内へ入ると、池の水のゆらぎも
一緒に反射され、堂内の白壁に映るとまるで
雲の中ような演出になるそうです。
見てみたいですねぇ( ̄- ̄)想像中・・・
ちょうどその頃の夕方にはちょうどお堂の真後ろに
陽が沈む事になり、真っ黒なお堂のシルエットの
中に、本尊のお顔が灯明に照らされ、バックは
夕映えで真っ赤に染まる、それが手前の池にも映り
真っ赤になる・・・・そうです。
ここまで考えられて建てられたというのは、
すごいと思います。今ならCGで予想をすることも
できるでしょうが、1000年ほども昔に
想像だけでここまで演出するって、すばらしい♪

さて後半のスライドショーは、有名処の仏像が
次々と登場し、その撮影時の話を鮮明に覚えて
いらっしゃって、なかなか面白かったです。
「この線がきれいでしょぅ?」と、それぞれの
像に言っておられたので、大変愛着を持って
撮影されていたのだと思います。
仏像は博物館ではなく、やはりお堂で見るもの
です、とおっしゃっていたのが印象的でした。
小川さんは仏像を美術品としてではなく、信仰の
対象として撮影されていたのが意外でしたが、
ちょっとホッとしました。