梅雨が明けた関東ではあるが、このところ湿っぽい。
湿っぽい日が3日以上も続くと、気分にも伝染しそうな気配。
スカッと晴れて、暑い夏が恋しくなる。
このところ、あれこれと気忙しい日々が続いた。
仕事に就いてた頃に比べれば、ずっと楽ちんな日々ではある。
だから尚更気忙しく感じるのかも知れない。
次から次へと、今までは関わらなかった異質の事柄が湧き出して来る。
こなしてはいるものの、気持が被害妄想的になってしまう時が、ままある。
本来、根クラな性格。
こんなときは、心が爆発しそうになる。
なんとか我慢を利かせてはいるものの、いらだちを隠せない。
そんなときは大きい声で歌を唄って吐き出してしまうのだが、歌にしてみれば、そんな唄い方をされたのでは憤懣やるかたないであろう。歌い上げてこその歌。イライラのはけ口にされたのでは立つ瀬がない。
振り返ってみると、この一年、ずいぶんギチギチのリズムで暮らして来た。
そんなとき、今まで見ず知らずの他人だった人と言葉を交せたときは、なんとも言えず嬉しかった。
ギターが弾き語る歌も、この時ばかりは本来の歌でいてくれていた。
心が焦燥する時間。
そんなときになればなるほど、人恋しくなる。
歌いたくなる。
ボブ・ディランの名曲「ミスター・タンブリンマン」は、そんな焦燥感から抜け出したい自分を唄いあげている。
中島美嘉の「あなたがいるから」(横田はるな・作詞・作曲)は相手に対する無理の愛おしさを唄いあげている。
いつまでも青春ではないのだが、人は歳を重ねても、本質は何ら変わらないのであろう。だから、歌ってみたい!…と思ってしまう。
焦燥から人恋しさへ。
これは単なる逃避ではない。
欠損した精神を修復すべく、人が知らず知らずに培ってきた知恵なのかも知れない。
心が悲鳴をあげているとき。
好きな歌を、好きな人に向けて歌い上げてみると、焦燥はちぢこまる。
そして、さらに人恋しくなって、人に生まれて良かったと思える。
人は、人の狭間に居てこそ人間である証なのかも知れない。
気分が変わったところで、いつもの日常に戻ってみよう。
焦燥にかられた自分とは、一風変わった自分に出会えそうだ。