[速+] 【社会】首からさげる中国製次亜塩素酸ナトリウム入りウイルス除去剤「ウイルスプロテクター」でやけど 幼児が重傷
http://news.guideme.jp/kiji/c543cda46890ce7386e2abe276d7847c
(2013.2.18)

【緊急】 首から下げるタイプのウイルス除去剤で大やけどの危険性 消費者庁「ただちに使用中止して」
http://www.tokuteishimasuta.com/archives/6934111.html
(2013.2.19)

次亜塩素酸ナトリウムは、
●高濃度だと、発火・爆発の危険性があり、
●低濃度だと、食品の消毒にも使えるもの
です。(たとえば低濃度の水溶液は、野菜の洗浄などにも使用されます。)


▼よく、「安全なもの/危険なもの」 という二分した捉え方をしようとする人がいますが、化学の専門家に言わせると、
「全ての物質に危険性がある」
ということになります。

たとえば、砂糖でも水でも、一度に一定量を超えて摂取すると、死亡する確率が高くなります。(水を一度に大量に飲むと、血液中のイオン濃度が変化し、それに細胞が対応しきれない場合、死に至ることもあります。)

マウスやラットで実験するんですが、「死亡確率50%を超える量」 のことを、
「LD50」
と言います。(LD=Lethal Dose:致死量)

だから、厳密には、「安全な物質」 というものは、砂糖や水さえも含めて、あり得ません。


▼とは言うものの、事実上、危険度の「高い」ものと「低い」ものとがあります。
これについては、薬事法などで決まりがあり、個々の物質については厚生労働省が定めています。

法律は、過去のセンセーショナルな事件など、歴史的経緯も含めて決められるものなので、純粋な科学とズレのある場合もありますが、およそ、以下のように決まっています。

Kyowのブログ

●口から飲みこんだ場合(経口投与)
●皮膚の下に注射した場合
●静脈に注射した場合
●蒸気吸入した場合
などによって、危険性は異なります。

経口投与の基準値を見ると、毒物で体重1kg当たり30mgです。
30mg=0.03gなので、
体重が60kgだと、0.03 × 60 = 1.8
1.8gを飲み込むと、50%の確率で死に至ります。

次に劇物では、体重1kg当たり300mgですから、
300mg=0.3gなので、
体重が60kgだと、0.3 × 60 = 18
18gを飲み込むと、50%の確率で死に至ります。

LD50の値は、大きいほど安全で、例えば衣類用洗剤では、およそ3000mgほどです。コップ1杯の一度に飲み干せば、あるいは……というレベルです。苦痛なので、普通はできませんね。ただし子供は体重が軽いぶん、影響が大きく出るので注意が必要です。

殺虫剤や、かぜ薬など、もっとLD50の値が小さい、つまり危険度の高い物質も生活の中では使用していますが、体内に入らないように接触しないように、製品も工夫されています。もちろん、使用者にも注意が必要です。


▼広く「危険性」と言った場合に、「毒性」だけが危険性ではありません。
「爆発危険」「高温の危険」などもあります。もちろん工事現場などでは、落下物危険、鋭利な物の危険、高所作業の危険、高速移動物体の危険などもあります。アスベストなどのように、「粉塵を吸入した場合の危険性」 もあります。

即時に影響が現れる危険もあれば、数十年をかけて現れる危険もあります。これについては、
「投与から24時間以内に死亡するかどうか」
というのが、一つの判断基準になっています。


▼さて、漸(ようや)く話を次亜塩素酸ナトリウムに戻しますが、次亜塩素酸ナトリウムは、無水物だと、「爆発危険」 があります。「無水物」とは、簡単に言えば、「完全に乾燥したもの」 のことです。

つまり、毒性としての危険性とは、少し違います。だから、「次亜塩素酸ナトリウム」 と聞いて、「危ない危ない」 と思って頂きたくも、ないのです。

数十年前は、粉末も売られていた(もちろん研究用)と思いますが、「爆発危険」 があるので、今では研究用としてさえ、水溶液でしか販売されていません。

しかし水溶液は安全で12%のものなどは、通常の試薬として売られています。殺菌作用があるので、市場流通の中では、野菜の洗浄などにも使用されることがあります。


▼次亜塩素酸ナトリウムを含む錠剤の入ったパックを首からさげて使うことで、ウイルス除去…云々かんぬん

(1)次亜塩素酸ナトリウムを固体として使用するなど、もってのほか。
(2)その錠剤に付着したウイルスは死滅するかも知れないが、そんなものを首から下げて、目や口に飛び込んでくるウイルスを除去できるわけがない。

上記の(2)を考えれば、「利用者も利用者だ」 と言いたくなりますが、もちろん悪質なのは、効果も期待できないのに危険なものを売っていた業者のほうです。

上記の(1)と(2)、両方の意味でアウトです。詐欺罪が成立してもおかしくありません。

さらに奇異に感じるのは、日本国内の企業、「ダイトクコーポレーション」(石川県)が輸入して販売していた、ということ。
「こんな詐欺商品の輸入が可能なの」
と、不思議に思わざるを得ません。

記事:
厚生労働省が近く、同社に自主回収を指導する予定。 消費者庁は「皮膚が赤くなったらまず洗い流し、早めに皮膚科に受診してほしい」と呼びかけている。
 ↑
ん~。っていうか、刑事罰相当でしょう。
同類商品の流通の検閲、「虚偽による商法」 の取り締まり、などもやってほしいところです。


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