去年亡くなった祖母は長くデパートの婦人服売り場に勤めていて
服好きで派手好きな人だった。


80過ぎまでマニキュアも塗っていて
私とは違うその大きな爪と
ばね指のせいで曲げようとしても曲がらないまっすぐ伸びた中指と薬指が
今も頭に残っている。
祖母が寝たきりになってからも
私は見るともなくその手を見ていて
手は同じなのにな、と何度も思っていたからかもしれない。


今年に入ってから私はマニキュアを欠かさなくなった。
今までほとんど塗ったことがなかったのに、何となく塗り始めたら止まらなくなった。
マニキュアを塗った爪を見ていると祖母を思い出す。
私の爪にばあちゃんが乗り移ったのかな、なんて思う。


身近な人(動物)が亡くなると、私の一部になる気がする。
目にもフィルターがかかる気がする。
ずっと同じ自分でいるなんてありえないと思った。