ここ半年の中東情勢、イスラム国(ISIL)に関わるニュースを見ると、10年前のイラク戦争は果たして終わった、解決したと言えるんだろうかと考えてしまう。


ブッシュ大統領はイラクに進攻(侵攻?)しフセイン政権を打倒。2003年5月に大規模戦闘終了宣言をした。その半年後日本は自衛隊をイラク復興支援のために派遣する。その時の先遣隊長が「ヒゲの佐藤」佐藤正久さん、この本の著者です。

任務はイラクの人道復興支援。給水・医療支援・道路など公共施設の復旧・整備の3点。経済大国日本が来てくれたというイラク国民の過大な期待が渦巻く中、効率よく仕事が進んだわけでもないが、これまで誰も手がけたことのない新たな事業にチャレンジする、ベンチャービジネスに望むフロンティア・スピリットで臨んだと書かれています。


「もともと復興支援はNGOなど民間の事業、しかし民間が乗り込むには、治安が悪く、インフラもズタズタ。かといって日本の場合他国のように、民間が復興支援に携わり、その警備を自衛隊が担当するという構図は許されない。そこで自衛隊の派遣となった。」


これが外国の軍隊とちがう日本の自衛隊の特殊性、集団的自衛権や武器使用の制限。他国からは「治安維持など危険な仕事はしない。自分の手を汚さず、きれいでおいしい支援だけをし、イラク国民に受けている」という批判はあったらしい。

また1991年の湾岸戦争では日本は2兆円を多国籍軍に提供したのに、クエートがニューヨークタイムスに掲載した感謝の広告の中に日本の名前がなかった。これは日本政府にとって今も大きなトラウマになっているようです。


この著書の中で佐藤さんは「自衛隊は治安維持活動する能力もあるのに、平和国家だからそれを行使できない。そんな論理は国際社会に理解されない。自衛隊の法的制約、治安維持活動への参加も将来の検討課題だ」と書いておられます。


どうなんでしょうか?。今の政権の動きが気になります。


http://mainichi.jp/select/news/20150226k0000m010167000c.html


恒久法:武器使用を拡大、PKOと同様 政府・与党調整

毎日新聞 2015年02月26日 07時00分




安倍首相の今回の中東訪問。日本が中東紛争に巻き込まれるきっかけにならなければいいのですが・・・。歴史的に見て、日本は中東紛争に対して責任はありません。オスマントルコ帝国を第一次大戦後ヨーロッパ列強が分割したこと。特にアラブ民族とシオニズム、イスラエル建国に対してのイギリスの二枚舌、三枚舌外交のツケが今も尾を引いている。


日本は戦後70年、幸い戦争にも他国の内戦にも関わらずに済んだ、奇跡的に。でも地道に経済援助、人道支援はしてきたわけで、それは凄いことだったんだとあらためて思いました。