昨日からの続きです
「マルチブラケット装置」を装着するといくつかの注意事項があります
例えば、装置装着してから時間差で半日後から痛みがやってきます。
歯と歯がぶつかる食事の時に、一番痛みを強く感じますので、
装置調節後2、3日間はあまり咬まないでもよい、消化の良い食事を用意するといいでしょう。
さらに今度は痛みがひくと、うっかり硬いせんべいや氷などを勢いよく咬んで装置を壊すことがあります。
放っておくと違う方向へ歯が動くこともありますので早めの連絡が必要です。
また、歯の移動によりワイヤーがずれてしまったり、ほっぺたの内側を強く咬んだり、
唇の内側を装置でこすることにより傷つけてしまい煩わしく感じることもあります。
マルチブラケット装置での治療中、ほとんどの場合には口の中でゴムを使ってもらいます。
また、前歯をたくさん動かす必要がある場合には、夜間ヘッドギア(帽子のような装置)を
つけることもあります。どちらも使ってもらわないと矯正治療が進みません。
そして、一番大事なことは「歯磨き」です
虫歯予防や歯周病予防として一番の基本は「歯磨き」ですが、
「マルチブラケット装置」は取り外しできません。
汚れがたまりやすい状態となりますので、今まで以上に丁寧な「歯磨き」を
患者さん自身に頑張ってもらわないといけないのです。
例えば・・・
通常は歯を動かすためのワイヤーが装置の真ん中に通っています。
日常はワイヤーが入ったまま歯磨きをしますので、ワイヤーの下や
細かい装置の周りを磨くには時間がかかります。
3~4週間に一度の矯正治療時は、ワイヤーを外しますので、
歯の汚れが残っている部分だけが染まる特殊な液で染色してみると・・・
ワイヤーが入っていた位置が帯状になって染まってしまいます。
これは毎日の歯磨きの時に、ワイヤーの下の部分を磨き残しているのです。
歯の色と歯の汚れ(歯垢)の色は似ているため分りづらいですが、
染め出してみると歯の汚れ(歯垢)が一目瞭然です。
歯の汚れ(歯垢)は虫歯や歯周病の原因となる細菌の固まりなので
この赤い部分に細菌がたくさんいるということになるのです。
患者さんにはワイヤーを外した状態で鏡を見ながら歯磨きをしてもらいます。
この時、自分でどの部分が汚れているのかを確認することが大事です。
磨き残している部分を中心に丁寧に磨き直してもらいます。
自分で上手に磨く技術を身につけておくと装置が付いていても
問題ありませんし、歯磨きの時間も徐々に短縮されていきます。
磨き落とせていない部分は歯科衛生士が機械的に除去します。
これで歯や装置についている汚れが落ち、綺麗な口腔内とになります。
綺麗になった口腔内へ歯を動かすメインとなるワイヤーを交換・調節し
再度、口腔内へ装着します。
ワイヤーを入れた後は細い針金で一歯ずつ締めていきます。
治療の過程で装置の周りにゴムをかけたり、バネをいれたり
フックがついたりと複雑になりますのでさらに磨きにくい状態になります。
3~4週間に一度は綺麗な口腔内になりますが、3~4週間の間は
患者さん自身に何とか「歯磨き」を頑張ってもらわないといけないのです。
矯正治療は患者さん自身の努力がとても重要となりますが、
毎日の歯磨きを頑張り定期的にきちんと通院すれば、必ず装置を外せる時がやってきます。
現在、矯正治療中の方は辛い事や不自由な事がたくさんあると思いますが、
必ず終わりがやって来ますので最期まで何とか頑張って下さいね。
では、次回はマルチブラケット装置を外した後の「保定期間」について紹介します
明日へ続きます
6/11公開のブログより、通常のブログに戻ります