教員採用試験の個人面接の合否は、願書提出時に決まると言っても過言ではありません。
言い換えるならば、願書と一緒に提出する、自己アピール書や志望動機書、エントリーシートの出来・不出来によって、個人面接の趨勢が決まります。
素晴らしい自己アピール書(エントリーシート)を提出していれば、個人面接も有利に進みます。
反対に、いい加減な自己アピール書(エントリーシート)を提出していれば、個人面接の時に、圧倒的に不利になります。
願書に添える自己アピールで、しっかりと考慮しなければいけないことは、3つあります。
(1)万人に適用されるような、普遍的な自己アピールの書き方はない。
(2)いわゆる「無難」に書くべきかどうかは、その人の学歴・経歴による。
(3)経歴・バックグラウンドを伴わない、自己アピールの添削に意味はない。
まず、万人に適用されるような、普遍的な自己アピールの書き方はありません。自己アピールが優れているかどうかは、その人の経歴・学歴・バックグラウンド・年齢等によって大きく異なります。
つまり、ある人にとって最高の自己アピール文も、他の人にとっては、むしろ不利となる自己アピール文になり得ます。
自己アピール文は、日本語の文章力を競っているのではありません。
その人をどうアピールするか、その人の魅力や教師への適性をどのように表現するかを考え抜いた上で書くのが自己アピール文です。
誰にでも通用する上手な自己アピール文など存在しません。
自己アピール文の執筆に必要なのは、単なる文章力や作文力ではなく、その人の経歴・学歴・バックグラウンド・年齢等を最大限考慮しながら、戦略的に自分の魅力や資質をアピールする構想力です。
従って、いわゆる「無難」に書くべきかどうかは、その人の学歴・経歴によるということになります。
現在、講師をしている人は、自己アピールを現任校の校長先生や教頭先生といった人に添削してもらうこともあるでしょう。
せっかくの機会なので、是非、添削してもらったらいいと思います。でも、気を付けて欲しいことがあります。
それは、多くの場合、校長先生や教頭先生は、文章に着目して、添削してくれます。
文章内の表現や語句や内容を吟味してくれます。
それはそれでありがたいことですが、経歴・学歴・バックグラウンド・個性などを徹底的に分析した上でないと自己アピール文の執筆・添削はできません。
職場の上司に添削をお願いすると、ほとんどの場合、文章が無難になり、誰が書いても構わないような感じのものになりがちです。
それがいけないとは一概には言いませんが、無難になればなるほど、その人の持ち味がなくなり、読み手の心を動かすというより、受験用の「良い子ちゃん作文」になりがちです。
繰り返しますが、ある人に有効な自己アピール文は、他の人には何の役にも立たないかもしれません。
自己アピールの添削は、単なる文章表現の校正ではありません。字句や表現の入れ替えではありません。戦略的な自分広告であり、戦略的な説得コミュニケーションの営みです。
だからこそ、経歴・バックグラウンドを伴わない、自己アピールの添削に意味はありません。経歴や学歴、その他のバックグラウンドもわからず、ただ自己アピール文の文章だけを持ってこられても、添削は不可能です。
添削は、国語表現の問題ではなく、戦略的な説得コミュニケーションですから、説得のための情報(経歴・学歴・バックグラウンドなどなど)が必要なのです。
文章添削が自己アピール文の添削だと勘違いしていては、いつまでたっても、合格を勝ち取れる自己アピールを書くことはできません。
簡潔に言うと、
添削とは、文章の構成ではなく、合格戦略のコンサルティングである必要がある。
ということになります。
皆さんも、合格戦略のコンサルティングと言えるような添削をしてもらってくださいね!
では、また明日!!
河野正夫