校長や校長経験者の添削や助言は、ほどほどに信じましょうね!! | ブログDE教採BY河野正夫

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教員採用試験対策講座を主催する広島教採塾の代表の河野正夫のブログです。教育について熱く語り、教採合格の勉強法の秘訣についても語ります!!

教員採用試験の面接や小論文の添削や助言を、校長や校長経験者の方にお願いすることは多いだろうと思います。


現在、講師をしている人は、職場の校長先生に面接や小論文の助言や添削を求めることも多いでしょう。親切な校長先生だと、校長先生の方から、「指導してあげるから、いらっしゃい。」と声をかけてくださることも少なくはないですよね。


また、学生(院生)さんの場合も、各大学が、校長経験者を専任教員や客員教授のような形で招いて、教採志望者の指導にあたってもらっているところが多いようです。


確かに、教員採用試験の面接官を歴任した、校長や校長経験者の指導や添削は魅力的に響きます。

面接官経験者に指導してもらうのだから、面接力が向上するに違いないと思ってしまいます。

でも、現実は違います。


真剣に若者を指導なさっている校長・校長経験者への敬意は表しながらも、はっきりと申し上げます。


校長・校長経験者の面接指導や、小論文指導は、ほとんど役に立ちません。


有害だとまでは言いません。でも、目に見えて現れる効果はほとんど期待できません。


では、なぜ、面接官を何回も歴任した校長や校長経験者の指導に効果がないと言えるのかを、説明しますね。


最大の理由は、


面接官の視点・能力と、面接の語りを向上させる視点・能力は、根本的に違うということです。


面接官は、受験者を面接し、受験者の資質や適性や人間的な魅力を判断します。この点では、面接官を長く経験すれば、優れた人を選び出す能力は高まるでしょう。

でも、優れた人を選び出す能力と、優れた人に映るための語りを、どうすれば構築できるのかを指導する能力は、全く違います。


優れた面接官が、優れた面接指導者になれるとは限りません。

むしろ、優れた面接官は、優れた面接指導者にはなれません。


なぜ、そう言えるかと言いますと、面接官は、究極的には、主観的に、受験者を選別しているからです。

受験者に情熱がある、やる気がある、真摯である、魅力があるというのは、すべて主観的な判断です。そして、優秀な面接官なら、その主観的な判断に誤りが少なく、優れた人材を選び出すことができます。


しかし、面接指導とは、このように語り、このように振る舞えば、面接官の主観を動かし、好感や共感を勝ち取ることができるという、客観的な科学なのです。


難しく言えば、コミュニケーション理論であり、レトリック理論です。客観的に、科学的に、そして、戦略的に、どのようにすれば、面接官の好意と賛同を勝ち取れるかを分析し、指導します。


これは、ちょうど、映画や演劇鑑賞や、料理を味合うのと似ています。


映画や演劇が好きな人は、映画や演劇を見れば、どれが素晴らしいかをある程度言い当てることができます。アマチュアが作ったものよりは、プロが作ったものの方が素晴らしいでしょうし、プロの中でも、優れた第一人者が作ったものは、最高の出来であることがわかるでしょう。

確かに、映画や演劇が好きな人は、素晴らしい映画や演劇を選ぶことはできるでしょうが、彼らには、素晴らしい映画や演劇を演出したり、監督する能力はありません。

つまりは、「見るだけ」、「見て判断するだけ」の能力を持っているにすぎません。

単なる映画の鑑賞者には、映画は作れないのです。


世にグルメと言われる人がいます。

ワインの銘柄やヴィンテージを言い当てたり、最高の料理の味を知っていたりで、どのお酒が美味しいのか、どの料理が最高に素晴らしいのかを、言い当てることはできるでしょう。

でも、グルメと言われる人に、ワイン作りはできません。美味しいワインを作ることはできません。

グルメと言われる人に、最高に美味しい料理は作れません。

グルメと言われる人は、最高のシェフにはなれません。


これらは当たり前のことです。


例えば、のど自慢の審査員がいます。

ある程度の音楽の心得があれば、どの参加者の歌が上手いかは判断できるでしょう。

でも、のど自慢の審査員は、声楽のプロでも、最高の歌手でもありません。

おそらく、のど自慢の審査員は、どのようにすれば音痴を克服できるかのアドバイスすらできないでしょう。


面接や小論文の指導も全く同じことが言えるのです。


面接官は、面接の指導はできないのです。

優れた人を選ぶのが仕事の面接官は、どのように語れば、優れた人に映るのかを指導することはできません。

はっきりと言います。できないのです。


面接官経験者の校長や校長経験者に教えてもらうことには、プラシーボ効果はあります。

プラシーボ効果とは、本当は効果のない、例えば、砂糖であっても、効果のある最新の治療薬だ信じさせて与えると、病状が回復することもあるという、効果のことです。

本来は効果のないものであっても、効果があると信じ込んで用いると、ある程度の効果を発揮することがあるという、よく知られた現象です。


校長や校長経験者に指導してもらうことに、プラシーボ効果を求めるのであれば、それはそれで構わないのですが、それ以上の効果はないということを知っている方が良いと思います。


何度も言いますが、私は、校長・校長経験者が無能だと言っているのではありません。

私が言っているのは、彼らのほとんどは、コミュニケーション理論やレトリック理論の素人だと言っているのです。


教員採用試験の面接や小論文の指導を、コミュニケーション理論やレトリック理論、パフォーマンス理論の素人に頼ることは、極めて危険です。


どう危険かと言いますと、プラシーボ効果で向上するという志望者は、もともと面接や小論文がある程度、上手い人々なのです。

つまり、もともと語りの力がある人は、校長や校長経験者に指導してもらうことで、意欲が湧き、方向性が見え、教育について学べるので、当然、合格力も付いていきます。

しかし、もともと語りが上手でない人は、プラシーボ効果にも限界がありますので、校長や校長経験者にいくら指導をしてもらっても、語りの力は向上しません。


校長や校長経験者に指導してもらっても、面接や小論文で不合格になるのは、こういうもともと語りがあまり上手ではない人たちなのです。

もともと語りが上手でない人は、コミュニケーション理論や、レトリック理論、パフォーマンス理論のプロフェッショナルに指導してもらうことが、教採合格の唯一の方法です。


このことを知らずに、面接官経験者に教えてもらえば何とかなると思っているのは、とても気の毒です。


自分の語りに自信がない、自分の面接力や小論文執筆力に自信がない人は、面接官経験者ではなく、プロフェッショナルな指導者(コミュニケーション理論、レトリック理論、パフォーマンス理論に精通した漬)に、添削や助言をしてもらることが、教採合格のためには必要不可欠だということを知ってくださいね。


不合格の連鎖を止めるためにも、自分の語りの力に適した指導を受けてくださいね!!


では、また明日!!


追記:このブログ記事には、続編があります。
続編は、
「教導者としての校長・校長経験者のお話は、謙虚に拝聴しましょうね!!」です。
続編とセットでお読みくだされば幸いです。



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河野正夫