四月から参加している句会の形式は、探題、というスタイルだ。
あらかじめ、各自が、お題(七音以内で三つのうちの一つは季語にするというルール)の書いた紙を袋の中に入れておく。
全員が入れ終わったら、今度は、籤のように三つ引く。
そのお題を織り込んで、即興で俳句を作らねばならない。
かなりスリリングである。小生が出した題は、
「秋思」「話」「聞」
突拍子も無いお題を出す人もいるが、自分が当たるということもありうる。作りやすいお題が当たるように祈りながら、袋から三昧だす。全員が取り出したら、折った紙を広げ、お題を見る。
何事も公平を期すためである。
「碑」「撒いて」「お前にやる」
とうとう難しいのにあったってしまった。
作った句は
秋霖とともに滲みて 芭蕉句碑
金色の小さき翼 撒いて 秋
採っただけ お前にやると 柿たわわ
十分ほどでできた。何やら形になると達成感が大きい。
「撒いて」は「水」を使うと夏の季語になってしまうので、水でないものを「撒いて」見せねばならない。そこで、ふと思い出したのが、与謝野晶子の歌「金色(こんじき)の小さき鳥の形して銀杏散るなり 夕日の丘に」「散る」と結びつけて本歌取りにしてみた。
それにしても「お前にやる」って何なのさ、六音やさかい中七に使うより外ないではないか。くれてやるものは、何ーーー
「娘」が浮かんだが、季語が難しい。たくさん収穫できるものはどうだろうか?故郷の柿が浮かんだ。採っただけ自分のものだ。
これだ、使える。と閃いた。初めは、「獲った」と表記したが、辞書で調べると「採る」が正しいとわかった。こんな時のために「新明解国語辞典 第四版」を携行しているのだ。
さて、句会は、4点句が四つあったので紹介しよう。なお作者名は合評が済んだ後に明かされる。
折り紙の 動物園へ 星月夜 山本純子 題「菱月夜」
法然が 酒を飲んだ日 曼珠沙華 大澤ほてる 題「然」
秋の日の 農夫の家の 鳩時計 加藤綾那 題「鳩時計」
秋茄子や 夭折という憶え方 加藤綾那 題「秋茄子」
上の三つは、選句で迷ったが、取らなかったのが悔やまれる結果となった。