悲しい時は明るい音楽が辛い~あなたに寄り添う白骨の章・解説(5)~ | メメントモリ 生と死を考えるブログ

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「生と死」は大切な問題ですが、タブー視されがちです。もっとオープンに、大人の人間として「生と死」が語り合えるようになりたいと願っています。そこで「生と死」に市民権を与える、小さな市民革命を、このブログで始めました!

http://masaoosajima.com/wordpress/item/hakkotu05/ より)

こんにちは、筬島です。

あなたにも、「悲しく辛い時、明るい音楽が余計、気分を滅入らせる」と感じられた経験がありませんか?


例えば、任せられたプロジェクトが失敗に終わり、
    失望や不甲斐なさで自分が嫌になったとき、

例えば、誤解され、なぜこうなってしまったのかも分からないまま
    孤立してしまったとき、

例えば、失恋し、世界でただ一人になってしまったように
    感じられるとき、

励まそうと、カラオケに誘ってくれたり、コメディー映画に連れていってもらっても、

心がついていけずに、落ち込みは深まるばかり。


そんな時は、一度、しっとりとした音楽を聴くといいかも知れません。


私が中学生の時、突然、母が

「振られた時、チゴイネルワイゼンを聞いて、もう涙が出ないほど涙を流したら
 スッキリして頑張れた」

と教えてくれたのを覚えています。

なぜ、唐突にそんなことを言い始めたのかはいまだに謎ですが(笑)、
母のアドバイスは当たりだと思います。


ちなみに、私のオススメの曲は、(かなり定番ですが)

バッハの『G線上のアリア』 と、

パッヘルベルの『カノン』です。


音楽療法では「同質の原理」といって、

悲しいときには悲しい音楽が私たちを癒やしてくれるとされています。


それはちょうど、

悲しい気持ちを信頼できる人に伝え、

じっと寄り添い聞いてもらうと、

悲しみが和らぎ、

心が少し軽くなったように感じられるのと同じ効果があるのかも知れませんね。



哀しみの中でも、愛する人との死別は最も深いものの一つに数えられますが、

そんな失意の中、蓮如上人の書かれた『白骨の御文章』を拝読しますと、

なんだか、蓮如上人に傍で悲しい気持ちを聞いていただき、

私よりも深く私の辛い気持ちを感じとってもらえたような心になります。


勿論、実はもっともっと深い救いがそこにはあるのですが、

それは少しずつお話ししていきたいと思います。

では、『白骨の章』の5回目。

今日は、「この世の始中終、幻の如くなる一期なり」(このよの しっちゅうじゅう まぼろしのごとくなる いちごなり)からです。

(全文はコチラをご覧ください→http://masaoosajima.com/wordpress/item/bereavement/hakkotu0/


「始中終」とは、「人生の始め、中ごろ、終わり」ということです。


とんちで有名な一休さんは、

「世の中の 娘が嫁と 花咲いて

  嬶(かかあ)としぼんで 婆と散りゆく」

と歌いました。

ちょっと女性からは反感を買いそうですが、

男性も呼び名が違うだけで同じですね。


「世の中の 息子が旦那と 花咲いて

  オヤジとしぼんで 爺と散りゆく」


やはり女性の方が歌になりますね。


「娘」という字は、「女偏」に「良い」と書きます。


「箸がころがっても面白い頃」だそうなので、本当かどうか調べようと思って

大学時代に友人の女性に実験したら本当に笑っていました(笑)。


しかし、いつまでも娘ではおれません。

やがて嫁と花咲く。

新婚当時はまさに花やかですが、いいことばかりではありません。


もともと「嫁」という字は、「女偏」に「家」ですから、

家とくっつく → 家庭に縛られる という意味が込められているとか。

専業主婦の方がされていることを企業の仕事で換算すると、

月給、約40万円~45万円ぐらいで、大企業の30代のサラリーマンや

中小企業の役職者あたりの月給に相当するという説もあります。

もちろん、専業主婦の方に限らず、家庭を持つと喜びも多い反面、

大変なことも増えてくるでしょう。

そのお嫁さんが、子供を産みますと、「嬶(かかあ)」と呼ばれるようになる。

「嬶(かかあ)」

響きもさることながら、字のつくりもユニークです。

「女偏」に「鼻」。

これ如何。


諸説あるようですが、

一つには、新婚当時はおしとやかで、主人から「出ていけ!」といわれると

ヨヨと泣いていたお嫁さんも(昔話?)、子供を生むとどっしりして、「出せるものなら

出してみなさい!」とか「あんたが出ていけばいいでしょう」と「鼻高く」なるから

「女偏」に「鼻」と書くそうな。


また、他の説によれば、家庭の中心だから、顔の中心の「鼻」という字を使うとか、

「目についた女房がやがて鼻につき」だから、とか。


えっ? うちのは新婚当時から嬶のようだった? その話はまた別の機会に……。

ともかく、いつまでも「娘」や「嫁」では止まれず、グイグイと見えない力で、

「娘」→「嫁」→「嬶」

と引っ張られていくのですね。

それを何とか押しとどめようとアンチエイリアシングなどの取り組みがなされるのでしょう。


ネットを見ていると、「ほうれい線を消したい方へ‎」という宣伝がバンバンなされています。

「いつまでも若く」は、共通の願いなのでしょうが、どれだけ押しとどめようとしても限界があります。

それは重力に逆らうより難しいもの。


そしてさらに、一休さんは「嬶としぼんで 婆と散りゆく」と言っていますね。


「婆」とは、女性の上に「波」という字がついていますが、

この波は、肌に出来る「波」のことだそうです。

この漢字を考えた人も、もうちょっと配慮して欲しいですね。

トランプにも「ババ抜き」というものがありましたが、失礼千万です。


それはさておき、これで終わりではありません。

「婆と散りゆく」

とありますように、最期は散っていかねばなりません。


咲き誇った花が最後、散っていくように、

人間もまた、死んでいかねばなりません。


嬶から娘に戻ろうとしても難しいですし、

お婆さんが、お嫁さん時代に戻ろうとするのも厳しいでしょう。


人は皆どんどんと墓場へと向かって大行進している。

この行進は、どんなに政治、経済、科学、医学を変えても押しとどめることはできません。


「この世の始中終、幻の如くなる一期なり」


「世の中の 娘が嫁と 花咲いて

  嬶(かかあ)としぼんで 婆と散りゆく」

「光陰矢のごとし」とはよく言ったもの。


光陰(月日・光は昼を、陰は夜を表す)は、矢のように早く過ぎ去るもの。


よく戦争が終わったのが昨日のようだとか、

50年があっという間だった、

と耳にします。

50年がアッという間なら、100年はアッアッという間でしょう。


『宇宙戦艦ヤマト』や、『銀河鉄道999』で有名な松本零士に

『千年女王』という作品がありました。

これがアニメ化されたのですが、その主題歌の歌詞が非常に深く、当時、小学生の私はいたく感動したのを覚えています。

そこには、こう歌われていました。


「10年は 夢のよう 

 100年は 夢また夢 

 1000年は 一瞬の光の矢

 過ぎてく時間は 怖くない 輝きを失う事が嫌なのです」


「10年は 人の暮らし 

 100年は 時代の流れ

 1000年は 歴史の移り変わり」


https://www.youtube.com/watch?v=Twa0pAAkR24
「コスモス・ドリーム」(歌:高梨雅樹)
 作詞:阿木燿子、作曲:宇崎竜童、編曲:船山基紀


時代、歴史という流れの中で、生まれ消え行く命は、

まるで大河の水面にポツリと出来て、スグ消えゆく泡のようなもの。


ロシアの文豪トルストイは、代表作の1つ『アンナ・カレーニナ』に

次のように書いています。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「私とはなにものであるか、なんのために私はここにいるのか、

 ということを知らないでは、とても生きていくことはできない。

 (中略)

 無限の時間の中に、無限の物質の中に、無限の空間の中に、

 泡粒のようなひとつの有機体がつくりだされる。

 その泡はしばらくのあいだそのままでいて、

 やがて消えてしまう。

 その泡が-----このおれなんだな」

 (中略)

 それは、この方面における人間の思索が、数世紀にわたる

 苦心の末に到達した、唯一にして最後の結論であった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 これは、トルストイ自身の分身ともいえる、リョーヴィンの

 セリフです。

 泡粒のたとえは強烈ですね。


「この世の始中終、幻の如くなる一期なり」

この短い一文に込められたメッセージの深さに驚くと共に、

人生を見つめなおさずにはいられません。


そして、そんな儚い命だからこそ、一日一日が貴重であり、とても素晴らしいものなのです。


その本当の素晴らしさは、死を通して生を見なければ見えてきませんし、

生まれてきた目的を知らなければ、生命の本当の尊さは分からないことでしょう。


ではまた。


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