NHKで放送されていたドラマ「やさしい猫」、最近ようやく見はじめました。
ってー、いつのドラマだって…
2023年7月のドラマでした。
名前を見知っている弁護士先生が、法律監修に入っているとの告知情報で、
見てみようと録画していたのでした。
もう20年近く前ですが、
在日外国人のボランティアに、少し関わった経験もあるので、
観るのにあまり気乗りしなかったのです。
楽しくハッピーな話は数少ない世界だから。
というわけで、個人的な思い入れ強めに入れつつ、ドラマ感想を。
1話。
不穏な影が混じりつつも、幸せいっぱいで、1話ラストはプロポーズの成功。
でも指宿先生が法律監修に入っているということは、この後、悲しみと苦難のストーリーが待ち受けているのがわかります。
幸せな話のはずなのに、ひやひや不安に駆られながら、見ていました。
夫と死別し、9歳の一人娘を育てる、シングルマザーのみゆき。
2011年の震災ボランティアで、日本に在住しているスリランカ人のクマラと出会います。
その1年後、近所のスーパーで二人は再会して、親睦を深め、
それから、同居していくことに。
娘とも仲良くなり、出かけたり、入学式に一緒に行ったり、家族同然。
で、1話のラストで、クマラはみゆきに正式にプロポーズ。
5年位の月日経っているのに、まだ結婚してなかったんかーーー!というのが、
私の心の叫びでした…。
ビザ(在留資格)のことわかってる人間からすると、そこが歯がゆい。
クマラさん、本当に日本が好きなんだろうし、いい人だと思う。
2011年震災ボランティアに行っているってすごいよ。
祖国スリランカ大地震で被災して、そのとき日本の支援に助けられたから、恩返ししたいと言っていた。
それがボランティアの動機だと言っても、なかなかできることではないと思う。
あの当時、日本に定住していた外国人たちの中にだって、一刻もと日本を脱出した人は結構いたと聞いた。
放射能が怖いからってね。
結局は帰れる場所があるんだねと、心うら、冷ややかな気持ちがよぎってしまった私なんだよね。
2話。
クマラが結婚パーティを延期するという…。もう嫌な予感しかない。
延期する理由をはじめは「占いで日取りが良くないから」。
向こうの人って、よくわからない慣習とか、お国の親戚の言うこととか、すごい固執したりする人いるよね…。
そういう類なのかと思っていたら、
実は、働いていた会社が倒産し、無職になっていたからだった。
無職なのが恥ずかしくて言えなかった、無職なのに結婚できない、という理由だった。
そういうこと隠し通そうとするところ、プライドというか、誇りというか、そういうの気にする人多いよね…
クマラの友人から、ビザ(在留資格)のことを聞いたみゆきは、家出から戻ったクマラの在留カードを確認すると、まだビザは切れていないと。
「2017年10月27日」と記載されているのが画面越しに見えた。
婚姻手続きを開始する。
故郷から書類取り寄せるのとか、結構時間かかったり、煩雑だったりするっていうけど
時期的に危ないよな…。
クリスマスの日に戸籍証書ができるから、入管に申請して、帰宅したら結婚パーティーしようと…
もうハラハラしかしなくて…。
そして、入管に行く道中、警察に在留カードの提示を求められ、ビザの期限切れでそのまま連行され収容される…
3話。
ドラマの中で、入管とか、まして、牛久入管(東日本入国管理センター)を目にすることがあるというのが、不思議な感覚でした。
(※牛久入管として写された外観の建物は実際のものではなかった。さすが撮影許可出さないのね)
クマラは収容されたまま、在留手続きの審理が行われる。
みゆきも呼ばれて、口頭審理という審査。
矢柴さん演ずる入管の職員、あの嫌味な、差別的に決めつけた物言い、よく話に聞く、入管職員を体現していた。
そのあと出てきた、吉岡さん演じる、ちょっと位が高そうな職員も、失礼な物言いではないけれど、理詰めで、絶対揺るがない対応、よくいたよね。
在留資格更新は不許可となり、退去強制(国外追放)と決裁される。
のちには、品川の入管から牛久へ移送。
長期収容されていくうちに、先が見えない収容生活に、精神的に危うくなってくるところ、
いつかどこかで見た表情でした…。
他の被収容者の話も、聞き覚えあるつらい話…。
仮放免申請不許可で絶望のあまり自殺する者、
予告もなく突然朝名前を呼ばれ、強制送還される者、
どうにも先が見えない状況を打開したいと思ってか、ハンガーストライキをする者、…。
その後、入管を辞職したという吉岡さん(役名わからず…)と再会し、
そのつてから、滝藤さん演じる弁護士と出会い、裁判を起こすことに…。
吉岡さん職員、実は、いい入管職員だった!
やっぱ、そういう人って少数でもいるのかな。
20年位前も、牛久で「いい職員さん一人だけいる」って、被収容者たちから慕われている職員さんがいました。
おそらく、あの組織の性格上、職員も外国人に対して差別的な言動を行う人が多かったと思われるのですが、
そうでなく、人として職を全うしている人も一部にはいるんだね。
一部だけだけど。
滝藤さん演じる弁護士、寄り添ってくれるいい弁護士さんなんだとわかる。
裁判の準備で自宅にまで来てくれたり、Yシャツノーネクタイでしたね。
日本は法律そのものが外国人に差別的で、外国人の人権をないがしろにした法律でしかないから、
裁判で闘うことそもそもが、負け戦みたいなところある。
期待はできないけど、ドラマだから、きっと明るい展望が描かれるよね…と、
藁をもつかむ思いで、第4話へ…。
(つづく…)
ドラマでは入管での面会、職員が同室に立ち合っていなかった。
今は立ち合わなくてもよくなったのかな。
昔は、家族の面会だろうが、なんだろうが、被収容者側の部屋の後ろに入管職員が立ち合っていました。
入管職員の立ち合いなしに面会できるのは、代理人弁護士だけでした。