本当に人って残酷だね。

弟が亡くなる前、一生懸命生きようと頑張ってるのに…

『所詮は、病院の実験台だな』

そういった舅。

『私は昔から兄弟を何人も亡くしてるから、どうということないよ』

平然といった姑。

死んだから払えなくなったローンを見て、父が言った言葉。

『あいつはウチの人間じゃない』

涙ながらに、ショックで倒れた母まで。

『独身だったから、私たちが生きているうちに死んで良かった。

あなたに迷惑かけていたかもね。』

そんな言葉って…

私が聞きたかった言葉じゃない。

私が言いたかったのは、

『よく頑張ったね、つらいって一言も言わないで。
あなたと過ごした時間は、宝物だったよ。
ありがとう、お疲れ様。』

せめて私はそう言って、弟に余命を隠していたことを謝りたい。

いつものように、朝のお弁当を作っていたら…


朝日の中で春もみじが、輝いて見えた。

今日も実家に行くんだよ。


空と海と雲の紡ぎ歌-春もみじ


実家に行ったとき、玄関先の沙羅の木に花が開いてた。


空と海と雲の紡ぎ歌


去年、病院帰りに満開の沙羅の花を見て、きれいだなと思ってた。


今年見た沙羅の花は…


今まで見た沙羅の花の中で一番きれいで、一番可憐で、一番悲しい色に見えたよ。


去年「きれいだね。」と話しかけた相手が、今はいないから。




偶然見つけてしまった弟のブログ…


そこに書かれた投げやりな言葉。


何もかもうまくいかない人生、自分への自虐の言葉。


ごめんね。。。


本当に学歴が必要で、大学に行くべきだったのは、あなただった。


今さらに謝っても遅いけど、それでも謝らずにいられない私。



何もかも、親からも姉からも見捨てられたと思っていたの?


何も知らないで、あなたの犠牲の上に私の幸せはあったんだね。


今さら、遅いけれど、許してください。


もし、あなたとまた話が出来たら…


もっとあなたの話を聞いてあげたかった。


今日もそっと手を合わせる。


涙と一緒に。

夜通し降っていた雨が上がったら、


ベランダの棹の雨粒が、朝の空に輝いていた。


空と海と雲の紡ぎ歌-2013年5月12日 朝露

ベランダのミニバラも、朝の光に挨拶するように咲いていた。


空と海と雲の紡ぎ歌-2013年5月12日 バラ


季節の移ろいは、私の心を待ってくれないんだね。

宿から見えた南アルプスの山並み。

今年は雪が多いのね。


空と海と雲の紡ぎ歌-南アルプス

こんな山がそばにあるところに、弟は静かに眠れるなら…

本当に良かった。


私はどうしても両親にお願いしたいことがあった。

それは弟のお骨を、ほんのひと欠片でいいから貰いたいとお願いしていた。

たった一人で逝ってしまった弟に、永遠にお墓で一人ではさびしすぎるから、何かの形で一緒にいつもいられたら、きっと弟も私もさびしくないし、安心だから。

私が死んだら、一緒の骨壷に入れてもらえたら…そう願って。


やっと両親も理解してくれて、今手元にあります。


空と海と雲の紡ぎ歌-メモリアルペンダント

これでいつも一緒だよ。

ありがとう。