10年前、働いてたお店の、隣の喫茶店のおじちゃん


とってもチャーミングで

独特のオーラで

絵を描いたり、美術をする若い人たちのために

お店のスペースを貸したりしてた


耳をすませばの、地球屋のおじいさんみたいな雰囲気


だいたい毎日店に買い物にきてくれて

にこやかに言葉をかわす

仲良しの同僚のお姉さんと

コーヒーを飲みに行ったな


そのとき、たどってきた人生を話してくれた

結婚はしなかったそうだけど、

己を貫いた生き方だった

おじちゃんの若い頃は戦後だったろうし

それはそれは今よりもっと

己を貫くということは難しかったんじゃないかな


チャーミングな笑顔の奥に 

深い人生経験からの

あふれる包容力のある人だった


こんど、山に連れてったるよ!

いつもさそってくれた 

うんうん、また今度ね、と生返事して

ちゃんと、もっと、お話すればよかったな


 
あとから知ったけど

闘病の末、亡くなられたそうだ

わたしが結婚して地元を離れたあとだった

ローカル番組の人間国宝さんにも取り上げられたそう


その喫茶店、というかアトリエスペースは

今もおじちゃんの意志を継ぐ人たちが

交代でやって守ってるんだって


そういう、深い愛のある人だった


今でも、ふと、思い出すよ

今もふとよぎったんだ
 

こんな通りすがりの私でさえ、忘れない人

おじちゃん、きっと、いい人生だったんだね

また、いつかね