石川昂弥選手の応援歌
【前奏:昂る一打で 挑め戦え】
振り抜け昂弥! 飛ばせ昂弥! 夢の放物線
昂る一打で 挑め戦え

私はこの応援歌が好きです。
何故なら、これは祈りだと思うから。



近年の中日に決定的に足りないものが、
和製大砲だ。
所謂、日本人のホームランバッターだ。

阪神に佐藤輝、横浜に牧、
ヤクルトに村上、巨人に岡本。
広島は外国人大砲ではあるものの、
最近は外国人大砲を当てるのが難しい。

近年は和製大砲を持つことが、
チームを強くする最短ルートでもある。

今年細川が本塁打20本を超えたものの、
日本人で本塁打20本は黄金期以来10年ぶり。
生え抜きに至っては、
黄金期以降、まだ更新されていない。

黄金期以降の約10年間、
和製大砲は中日ファンの夢でもある。



石川昂弥選手は、
2019年にドラフト1位で入団した。
愛知県の強豪校・東邦の4番で、
将来を期待される地元の高卒スラッガーだ。
前監督が3球団競合の中、
くじ引きで交渉権を獲得した。

中日に指名されて
嬉しそうにしてくれる競合和製大砲。

恐らく今後も、中々見れないことだと思う。
実際バンテリンドームは、
野手にとって非常に不利な球場だ。

でもだからこそ、
石川昂弥は中日にとって特別というか、
格別というか。

色んな祈りや希望を向けられた選手だ。


今年、有名ゲーム(プロスピ)の投票で

中日1位を獲得



しかし、
石川は入団以降、苦戦を強いられている。

実力の話ではなく、怪我が多いのだ。
よく怪我が多い選手をスペと呼ぶ。
しかし、石川は決してスペではない。

石川の怪我は、基本的に外的要因で、
不運とも言えるものばかりだ。

今シーズンようやく1年を走り終えたものの、
今年すら、不運に離脱する場面もあった。
どうしても神様は試練を与えたいらしい。

ただ、希望もある。
石川の打撃は1軍でちゃんと通用した。
昨年の膝の故障も、
しっかり治っているらしい。

今年は13本塁打ながら、
石川は22歳。
高卒4年目で2桁本塁打は、
中日では30年ぶりだ。
黄金期よりも前ということになる。



石川昂弥選手のことで、
私は強く印象に残っている出来事がある。

今年の頭、春季キャンプの〆として、
ナゴヤ球場に中日の選手が集まった中、
遅れて石川が入ってくる一幕があった。

そこで、ファンから惜しみない拍手があった。

その時は大怪我のリハビリ中で、
まだ1軍復帰は先になるだろうという時期。
石川はまだ、1年完走したこともなかった。

純粋な、期待と愛だと思う。

中日ファンをしていると、
東海地方の人たちの
愛情深さに驚くことが多い。

中日入団を喜ぶ石川昂弥と、
石川を待ち焦がれる中日ファンは、
まるで相思相愛だと思う。

石川が地元中日に期待し続けたように、
中日ファンも地元中日・石川を期待し続ける。

私はその構図が、とても大好きだ。



さいごに

プロ野球選手の応援歌は、
応援団という
ファンの中のファンみたいな人たちが作る。

私は、石川昂弥の応援歌の、
「夢の放物線」という歌詞が好きだ。

だってこれは祈りだ。

悲願の和製大砲を獲得したい祈りと、
地元の星・石川昂弥の活躍の祈り。

できるできない、なるならないではなく、

ずっと待ち焦がれている、
和製大砲への愛と期待が詰め込まれている。

中日ファンにとって、
放物線和製大砲は「」なのだ。

中日は低迷している。
でもだからこそ、
余裕が無い時、人は本質が出ると思う。

リハビリをしていようと、
期待と応援を続けるあの強い拍手が、
今も忘れられない。

人は利益や損得、性愛が関わらなくたって、
他者をあんなにも思うことができるのだ。

関東から、あの温かさに強い憧れを抱いている。