昔録ってほっぽらかしちゃったDVDを観る活動で、

今回鑑賞したのはこの作品。

1953年に松竹で制作、公開された「山を守る兄弟」。

美空ひばりさんが男役を演じた時代劇だ。

 

甲州の山岳地帯、玉置家と角倉家の対立が続いており、

玉置家の山の木を勝手に切ろうとする角倉家の連中に、

ひばりさん演じる弟・大三郎は短銃で立ち向かい、

辛うじて山を守っている。

修行を終えた兄・伊織は甲州に帰る際、角倉の娘・小弓を救い、

大三郎と合流するが、隙をつかれて家を焼かれてしまう。

角倉の番頭・黒川は悪代官と結託し、伊織を捕らえ拷問にかけようとする。

大三郎は新たに甲州に着任した越中守に直訴し、

黒川の山狩りにあい絶対絶命の伊織を辛うじて救い出す。

 

美空ひばりさんの歌「山を守る兄弟」は、映画のタイトルでは

男声合唱団によって歌われ、間髪を容れずひばりさんが同じ曲を歌いながら

現れる、という演出、さすが松田定次監督だ。

 

気になったのは、昭和20年台の映画のテンポだ。

ストーリーは勧善懲悪もので、小さな正義が巨大な権力に潰されそうになるのを

一瞬のチャンスで形成逆転、という王道パターンなんだけど、

いかんせん今の視点ではテンポが緩い。

「大丈夫かなぁ?」とヒヤヒヤ気分が続いてしまうのは、ちょっとなぁ、

という感じだ。

 

これをうまく中和してくれたのが脇役で、

玉置兄弟につく炭焼きの三吉は堺駿二さん(マチャアキのお父さん)、

越中守につく家来の一人が横山エンタツさん。

そして物語に重厚感を与えてくれる越中守が、月形龍之介さん。

最終的にはハッピーエンドに終わって、ホッとした。