近所に、とても複雑な家庭に育った高校1年生の男の子が住んでいます。


その子の生きてきた道の概略を以前人伝に聞いたことがあるのですが、それはもう、多分私の想像を絶しているかと思います。


その子は数年前に近所に越してきました。


けれど、彼の一家が越してきたわけではなくて、更にさかのぼること数年前にこちらに越してきた彼の義理の母親の両親の家に彼だけが越してきたのです。


その子は引っ越してきた当時から外見的にはなかなかすごい子で、中学生だったにも関わらずピアスを耳だけでは飽きたらず鼻にもしていたくらいで、近所のおば様方の話題提供に一役買っていたようでした。


高校生になった今は、ピアスは更に増えて、今は耳と鼻と口にそれぞれ数個ずつしていて風貌としては更に派手になったように思われます。


そんな彼と私は勿論親しい訳じゃないけれど、お互いにお互いという人間が存在していることは認識しています。(多分。笑)


私と彼は朝と夜(つまり、出勤時間と帰宅時間)近所でよく出くわします。


そしてその度ごとに、彼は私ににっこり笑顔で


おはようございます


とか


こんばんは


とかとても気持ちの良い挨拶をしてくれるのです。


うちの母の話によると、彼は近所の人に会うと少しも臆せずに笑顔で挨拶をしているそうで


そんな彼にうちの母はとても感心させられているのだそうです。


私は小さい頃から両親に


勉強はできなくてもいいから、挨拶だけはしっかりできる子になりなさい。


と言われて育ちました。


とにかく両親は私を、笑顔で誰にでもちゃんと挨拶できる人間に育てたかったようです。


だから私も挨拶に関してはすごく思い入れがあるし、やっぱり生徒たちにも挨拶が出来る人間になって欲しいと思って日頃接しています。


そう思うとやはり、人間性って勉強が出来るとかそういうことじゃ全然測れないなぁって思います。


勿論、挨拶が出来れば必ずしも人間性が良いというわけじゃないことはわかっているけれど、でも、やっぱりそういうことって大切ですよね。


少なくとも私は毎朝毎晩彼に会って挨拶を交わすことによって、とても気持ちが晴れやかになります。


彼の背負っているものは私には想像もつかないものなのだろうけれど


それでも曲がらないように頑張っている彼を見ていると、自分も頑張らなくちゃって気になります。


そして毎回絶対、彼に幸せになってもらいたいなぁと自分の生徒のしあわせを願うような心持になってしまうのでありました。