最近、毎日毎日本当にいろんなことが起こる。


昨日は警察沙汰があった。


そして、今日はある生徒はさみを振りかざそうとした。友人関係の不満が爆発した形だ。


たまたま空き時間で職員室にいた私は応援を頼まれた。


興奮し授業を飛び出して廊下で問題が起こった友人に対して


「殺してやる」


と口走った彼ははさみを握っていた。


私は、はさみが強く強く握られているその手をその上からそっと握って彼と話をした。


彼は私のクラスの生徒ではないのだけれど、時間をかけてよく話した。


最初は「何でもない」とか「別に」と繰り返していた彼も、途中からは涙を流し、


色んなことを話してくれた。


彼は言った。


「先生たちはみんな、本当は心配なんてしてない。だって他人じゃん。みんな見て見ぬふりしてる。」


私はその言葉を聞いた時、すぐさま言った。


「私はそんなことない。絶対見て見ぬふりなんてしてないよ。私は絶対にしない。」


彼は少し黙った。そして少しだけ、言った言葉を後悔したような、申し訳なさそうな顔をした。


生徒たちはやっぱり、教員という存在を諦めている教員には何も分からないと思っている。


教員には何を言っても無駄だと思っている


そして、教員も、生徒には何を言っても無駄だと思っている


それでも私はやっぱり生徒のことを決して諦めない教員でありたいと思う。


はさみを握った手の上に手を置いて話したその間、彼の表情が少し柔らかくなったこと、


その後彼が流した沢山の涙のそのあたたかさを、私は忘れずに、「先生」でありたいと思う。