昔教科書に載っていた物語で、


トルストイ原作の


“とびこめ”


が、とても印象に残っています。




話の内容は、


世界一周旅行の帰りの船の甲板が舞台での出来事。


一匹の大サルが、調子にのって、船長の息子の帽子を引ったくり


船のマストの上まで逃げます。


人々がどっと笑うと、更にサルは少年をからかう仕草を始めます。


水夫たちまで笑い始めて、少年は怒り、上着を脱ぎ捨て、


マストに飛びつき、サルをおいかけます。


サルは、さらに上の方へ登って逃げます。


少年は、すっかり怒ってしまい、夢中になって追いかけます。


サルは、帆下駄の端までいき、帽子をそこにひっかけると、


てっぺんまで登っていってしまった。


マストから帆下駄の端までは二メートルもあり、


マストから手をはなさなければ届かない距離です。


夢中になっていた少年は、マストから手を離し、立ち上がります。


その様子で、今迄笑っていた人々も、おそろしくて、声も出ません。


一歩でも足を踏み外すしたら、少年は甲板に落ちて、粉々です。


はらはらして人々が見守る中、船長が出てきて、


手には、カモメを撃つ為の鉄砲を持っています。


船長は、マストの上の我が子を見つけるやいなや


「飛び込め。飛び込まないと撃つぞ!!」


と叫ぶのです。


「飛び込め。うつぞ。一、二・・・」


三の声を聞く前に、少年はまっさかさまに飛びおり、海に落ちました。


同時に水夫が海に飛び込み、少年は助け上げられます。


しばらくして、少年が息を吹き返すと、


船長は、「うわっ」と大きな声でわめいた。


そして、ないているところを見られないために、自分の船室にかけこんで行きます。




こういった話なのですが、私はこの話が忘れられません。


我が子を助ける為に、船長は子供にを向けます。


究極の選択です。


しかし、とても偉大な選択です。




この物語を改めて読んだとき、私は涙が出ました。


色々な事を考えましたが、


何よりも、この船長の、父親としての


『本当の優しさ』


を、感じました。


私も、こんなに立派な父親になりたいと思います。


出来るかどうかは分かりませんが…