雨が上がり出した。
今日も歌稽古に向かう、そんな電車の中。
一人、スマホの液晶に浮かび上がる映像を眺めている。
一ヶ月
二ヶ月
三ヶ月
…
一年
二年
と、この記録媒体には過去に落としてきた自分の欠片が詰め込まれている。
写真を眺めることは不思議だ。
このように液晶を通しても、その時に感じていた空気や、感覚を思い出す。
そこに感じ入るこの感覚は、もはや芸術的な鑑賞と変わらない感覚なんだと思う。
月日は流れた。
俺は何か変わったのか?
表情は少し険しさが増したような気がする。
それは、自信が増したからではない。
いやそれは俺自身しか分からないことだけれど、今でも不安と成功は表裏一体だと思っている。
変わったことは、出来ないことを不安でいることに安心して向き合えるようになったことくらいか?
何かを変えなくちゃいけない。
今も移り変わって行くこの世の中、世界では争いばかりだ。
人は人をサポートすることよりも、誰より上に立つことの方が大事らしい。
サポートする行為によって誰より強くなったのか、それが大事になってしまったのか。
世界中で起きている争いを聞き見て感じて、俺たちはいつの間にかどうしようもないと目を閉ざしていないか?
目を閉ざさないで。
目の前に世界は目の前にある。
今目の前にある、くだらない争いを解決することでも、世界は変わる。
俺たちは諦め過ぎた。
強く生きられるようになりたい。
世の中の理不尽と戦うことにフィールドは関係ない。
でもこうして自分の環境を良くすることすら自分の傲慢さに感じてしまう。
本当の強さって何だろう。
人間の頭の中で根本から求めている幸せは何処にあるのだろう。
強くなりたい。
強く。
恭兵。