支援が必要な発達障害のある子どもや大人に対して、「得意を伸ばす」ことの重要性が強調されています。


多くの人は、このアプローチを文字通りに受け止めており、発達障害者には独特の能力があり、その能力を伸ばすことが重要だと解釈しています。


確かに、そのような独特の能力を持つ人もいますが、すべての人が能力を持っているわけではありません。


私は、「得意を伸ばす」ということを「苦手なことを避ける」と解釈しています。


日本では伝統的に「苦手なことを克服する」努力が高く評価されてきましたが、現在の学校教育でも同様の考えが一般的です。


しかし、苦手なことを克服するのは非常に困難で、現実的ではない場合が多いです。


例えば、苦手な漢字を覚える努力をしても、それが得意になるとは限りませんし、足の遅い人がどれだけ練習しても、速く走れるようになるとは限りません。


特に発達障害のある人々は、極端に苦手なことがあるため、それを克服しようとすることは「百害あって一利なし」と言えます。


「得意を伸ばす」とは、個人が興味を持ち、成功が見込めることに挑戦させることだと私は考えます。


成功とは、他人と比較して優れていることではなく、個人が学習や活動に積極的に取り組むことを意味します。


私は大人になってから、自分の得意と不得意を認識し、苦手なことは避けるようになりました。

 

ずいぶん楽になりました。


仕事では苦手なことを避けることができない場合もありますが、苦手意識を持っているため、無理をしないようにしています。


苦手なことを無理にこなすフリをするのではなく、他の人が嫌がる面倒な仕事や地味な仕事を積極的に引き受けることで、社会に適応してきています。


現実原則や現実適応を重視し、大成功や出世を目指すのではなく、自分にできることを続けることで、平凡ながらも安定した社会生活を送っています。

 

さて、問題の落とし穴は、得意を親が見つけて決めるところにあります。

 

本人が好きな物を見つけ、それを時運の意志で伸ばしていくのが大事なのです。