共同幻想は、存在しない抽象的なものに価値を与えることです。

 

私はこれを考えるとき、「裸の王様」の話を思い出します。

 

王様は実際には裸ですが、自分が立派な服を着ていると信じています。

 

裸を指摘する子どもは、発達障害的な行動を示しているとされますが、実際には正しいのです。

共同幻想の典型的な例は、お金(経済)と神様(宗教)です。

 

1万円札はただの紙切れですが、皆で1万円の価値があると合意しています。

 

しかし、実際には紙切れに過ぎません。このように、共同幻想によって現代社会は成り立っています。

 

信号機の赤色も同様で、赤は「止まれ」を意味します。

 

共同幻想のおかげで安全が確保されています。

社会の多くの側面は共同幻想によって成り立っており、これは人類の最大の知恵の一つです。

発達障害の当事者はビジュアルを好む傾向があり、目に見えるものだけが実在すると捉えがちです。

 

そのため、抽象的な概念の理解に苦労します。

 

家族はしばしば、当事者が「お金の管理ができない」や「未来の計画が立てられない」といった問題を抱えていると思います。

また、言葉を文字通りに受け取ることも問題です。

 

例えば、「雨が降ってきたので洗濯物を見てきて」と頼まれた時に、実際には洗濯物を取り込まずに「見てきた」と答えることがあります。

発達障害の根本的な問題は、共同幻想を持つことの難しさにあると私は考えます。

 

発達障害の人は、見えるものだけが実在するという考え方をします。

 

生まれながらに視力が優れているため、見えるものが優先され、「見えないものの理解」が遅れがちです。

問題解決の鍵は成長と発達にありますが、いきなり「自分の人生について考えろ」という難しい課題を提示すると、逃げ出してしまうことがあります。

 

したがって、生活実態に合った課題から始める必要があります。

 

家事の手伝いや買い物など、身近なところで社会性を育てることが重要です。

ビジュアルな現実から徐々に抽象的な共同幻想の世界へと移行する経験が大切です。

 

これには体験学習が必要です。

家族は発達障害を理由に絶望するのではなく、一歩ずつ前進できるように当事者を支援してください。