スポニチアネックスより

鈴木康弘元調教師の【達眼】

有力馬の一週前の有力馬の馬体診断!



【マイルCS】グランアレグリア 異例の120点 藤沢和師 最後の傑作にふさわしい気品と風格

 ◇鈴木康弘「達眼」馬体診断

グランアレグリア

 満点超えのエンディングだ。鈴木康弘元調教師(77)がG1有力候補の馬体を診断する「達眼」。第38回マイルCS(21日、阪神)では連覇とG16勝目が懸かるグランアレグリアに異例の120点を付けた。達眼が捉えたのは来年2月で定年を迎える藤沢和雄調教師(70)最後の傑作にふさわしい気品と風格。グランも法人クラブの規定で来年3月までの引退が決まっており、師と共にG1のフィナーレを飾る構えだ。

巨匠と呼ばれる舞台監督に送り出されて最後のステージに立つ名女優のような磨き抜かれた気品と風格。グランアレグリアの余裕に満ちた立ち姿に私は年がいもなく深い感動と興奮を覚えました。余裕が気品と風格を醸成する――。舞台芸術のエッセンスを体現するたたずまい。サラブレッドは走る芸術品といわれますが、G15勝の名牝も晩節を迎えて一級の芸術品の域に達しました。現役最晩年を迎えた藤沢和雄調教師が送り出す最後の傑作にふさわしい姿です。

 穏やかなまなざし、ごく自然になびかせる尾、ゆったりと大地を踏む四肢…。モグシ(簡易頭絡)だけで引き手を遊ばせながら気持ち良さそうに立っています。天皇賞・秋の激闘から3週間足らずでこれほど余裕のある姿を見せる牝馬は見たことがありません。筋肉や腹周りの張りも天皇賞時と寸分も変わらない。心身共に前走のダメージは皆無です。

 状態が悪い時にレースを詰めて使えばダメージが残りますが、良い時には詰めて使ってもダメージは残らない。グランアレグリアが典型です。それにしても、天皇賞で力を振り絞りながら完全に回復しているとは…。心身の強じんさがなせる業としか思えません。

 太い首、肩とトモには岩のような大きな筋肉。ダウンジャケットでも着込んだような厚みを増しています。G1初制覇を飾った一昨年の桜花賞時に476キロだった体重は昨年の安田記念で492キロ、スプリンターズS、マイルCSでは500キロを超えました。体重増は筋肉の増量分。加齢とともに筋肉マッチョなマイラー体形が完成したのです。今春も何度か指摘しましたが、中距離をゆったりと走るには強すぎる筋肉。天皇賞・秋の2000メートルは長かった。それでも、輝きは失っていない。晩節を汚すように尻すぼみで終わるクラシックホースが多い中、その有終の輝きには驚きを禁じ得ません。

 ラストになるであろうG1は最も強く輝いたマイルの舞台。現役最後の馬体撮影に臨んでも、いつも通り四肢の蹄を定位置に置いた行儀の良い姿勢で写真に納まりました。蹄の先まで行き届いた藤沢和雄厩舎のしつけ。一時代を築いたトレーナーのG1挑戦はスペイン語で「無上の喜び」(グランアレグリア)と命名された傑作とともに大団円を迎えます。(NHK解説者)

【マイルCS】シュネルマイスター100点 鍛え込まれた証 血管浮き上がり

 ◇鈴木康弘「達眼」馬体診断

シュネルマイスター

 シュネルマイスターには伸びゆく3歳馬の勢いと未知の可能性があります。今春とは見違えるほど成長した。3歳のひと夏を越して、体に太い芯が1本入ったような印象を与えます。キ甲(首と背中の間のふくらみ)も完全ではないにせよ、だいぶ抜けてきた。顔つきは数カ月見ない間にすっかり精かんになった。あどけなさが残る若駒の顔からプロの競走馬の顔へ。しばらく会わないうちに少年から大人の顔立ちに変わった孫を見たような気分です。

 3歳春の時点で非凡な姿を見せていました。柔らかい筋肉、各部位が滑らかにリンクした無駄のないつくり。機能性に満ちた馬体に成長力が加わったのです。前後肢(前腕とスネの部分)の筋肉には血管がうっすらと浮き出ています。薄い皮膚を持つ馬が鍛え込まれると、こういう血管が映る。首が太く短いマイラーの体つきはたくましさを増しています。

 キ甲が抜け切って完成の域に近づいた時、どんな名馬になっているのか。女王グランアレグリアが有終の輝きを放つ以上、世代交代を告げるのは少し先かもしれませんが、次代のマイル王を確信させる馬体です。

【マイルCS】インディチャンプ90点 立ち姿に変身の予兆!?

 ◇鈴木康弘「達眼」馬体診断

インディチャンプ

 年を取ると同性の親(息子なら父親、娘なら母親)に似るといいます。馬にも当てはまるかもしれない。インディチャンプは6歳秋になって父ステイゴールドによく似た立ち姿を見せています。安田記念時の優等生的な行儀のいい立ち方とは一転、不機嫌そうにアゴを突き出し、尾にも四肢にも力を入れています。素行が悪くても闘争心で走るステイゴールド産駒。ヤンキーっぽい立ち姿は変身の予兆か。ともあれ、馬体の張りや毛ヅヤは抜群です。

【マイルCS】グレナディアガーズ90点 筋肉隆々たくましいトモ

 ◇鈴木康弘「達眼」馬体診断

グレナディアガース

 グレナディアガーズは460キロ前後の馬体重ですが、500キロはあるように見える。実際の体重よりも40キロ程度重く感じさせるのはたくましいトモのせいです。筋肉が岩のようにせり上がってきました。首が太く、背、腹下が短いマイラー体形に筋肉量が加わったとあればマイル戦線でG1ホースにふさわしい走りができるでしょう。両耳をハの字に開く散漫なしぐさを見せながら、目と耳には緊張感がある。安定しない顔つきですが、毛ヅヤは抜群です。

【マイルCS】ダノンザキッド75点 背中と腰、ひばらが少し寂しい

 ◇鈴木康弘「達眼」馬体診断

ダノンザキッド

 ダノンザキッドは筋肉量の豊富な馬ですが、今回は背中と腰、ひばらが少し寂しく映ります。立ち姿には古馬のような余裕が感じられますが、まだ首差しが抜けていません。毛ヅヤももう少し欲しい。

 

【マイルCS】サウンドキアラ85点 短距離体形 マイル課題

 ◇鈴木康弘「達眼」馬体診断

サウンドキアラ

 サウンドキアラは腹周りがフックラして、馬体重(前走時466キロ)以上に大きく見えます。毛ヅヤも抜群。体調はかなり良さそうです。ただ、今春同様、メンコの間からのぞく目つきがきつい。首が太く、肩、トモに大きな筋肉をつけたスプリンター体形。距離延長が課題です。

【マイルCS】ホウオウアマゾン85点 春先より全体的に成長

 ◇鈴木康弘「達眼」馬体診断

ホウオウアマゾン

 ホウオウアマゾンは今春から随分と成長しました。NHKマイルCに比べて首が太くなった。肩の筋肉が立派になった。腹周りのボリュームが増した。成長力ある3歳牡馬が見せる典型的な体つきの変化。ただし、ハミを気にして、カメラマンを威嚇するような顔つきは好ましくない。

【マイルCS】サリオス80点 少し冬毛も精神面安定

 ◇鈴木康弘「達眼」馬体診断

サリオス

 サリオスは安田記念時よりも穏やかな立ち姿です。精神的に安定しているのでしょう。相変わらず前後肢に立派な筋肉をつけています。ただ、3歳時から成長した部分が見えない。3歳の時点で完成されていたからです。よく手入れされていますが、少し冬毛が出ています。

【マイルCS】ロータスランド80点 毛ヅヤ良好ももう少し力強く立てば

 ◇鈴木康弘「達眼」馬体診断

ロータスランド

 ロータスランドは馬体重(前走時472キロ)の割に重量感があるのはひばらが張っているからです。筋肉量も十分。今の時季の牝馬にしては毛ヅヤも良好です。気の強そうな顔つきをしているのに、トモを落とし気味にして立っています。もう少し力強く立ってほしい。

◇鈴木康弘(すずき・やすひろ)1944年(昭19)4月19日生まれ、東京都出身の77歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70~72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許取得、東京競馬場で開業。94~04年に日本調教師会会長を務めた。JRA通算795勝、重賞はダイナフェアリー、ユキノサンライズ、ペインテドブラックなど27勝。19年春、厩舎関係者5人目となる旭日章を受章。

以上、スポニチアネックスより

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★想い出のマイルチャンピオンシップ★

第12回マイルチャンピオンシップ

①着トロットサンダー(4番人気)
②着メイショウテゾロ(16番人気)

馬連104,390円

第1回から第11回まで1番人気が連対を外したことの無い 日本一堅い GI と呼ばれていたマイルチャンピオンシップ。

第12回で初めて1番人気が連対を外し、馬連10万円馬券が炸裂した!