オリ合宿のレビューです。まずマレーシア会長から。
Review of Malaysia
0、 レビューとは
新入生も読んでくれることを期待して、最初にレビューとは何か説明したいと思います。模擬国連のメインはもちろん会議のシミュレーションですが、シミュレーションをして終わるのではなく、会議においてなぜあのような行動をとったのか、どの行動はよくてどの行動はだめだったのか、というのも重要な要素のひとつです。
もちろん、数人で話し合って互いに意見を言い合うレビューもありますが、こういった形で一大使、一個人として会議をレビューすることもあります。
1、 政策立案
新歓会議であることや既存の決議から逸脱できないことを考えると、本当の意味での「政策立案」は出来ませんでしたが、マレーシアがどのような方針を立てたのかを書きます。
もちろん、マレーシアは北に中国やインドという核兵器国がありますが、非常に差し迫った脅威であるとは考えていません。むしろ、非同盟諸国運動(Non-Aligned Movement: NAM)における存在感を発揮することが一番の国益だと考えました。つまり、会議でマレーシアがするべきこと=NAMがするべきこと、だと考えました。
そこで、次にNAMについて説明します。NAMはWP1でも書きましたが、冷戦期に東西両陣営のどちらにも与さない第三勢力として生まれたのがきっかけです。つまり、何かひとつの共通性をもつグループであるというよりは、強いて言えば「途上国」という共通性で集まっているに過ぎないと思います。このことから考えると、NPTの三本柱(核軍縮、核不拡散、核の平和利用)のうち、核の平和利用を重要視するのは当然です。原子力といった科学技術を利用して先進国の水準に近づきたいからです。そして、これと表裏一体の核不拡散には消極的です。なぜなら、先進国は核不拡散を口実に途上国の原子力技術の発展を阻害するからです。残りの核軍縮は賛成です。厳密に言えばNAMには核兵器国はいないので、N4の核をなくして少しでも国際社会でのパワーバランスを相対化させたいからです。ただ、NAMにはインド、パキスタン、北朝鮮も含まれているのでこの3カ国(とイスラエル)に言及することは出来ません。以上のような理由から、核軍縮、それも核兵器国に特化した核軍縮に偏ったDRが出来上がりました。
ここで一言付け加えておくとすれば、NAMは先ほども言ったようにさまざまな背景の国が集まっているので、DRの外(特に不拡散)についてのスタンスは各国でさまざまです。IAEA保障措置の強化を求める国もいれば、追加議定書に批准していない国もいます。
2、 会議行動
例年、NAM案はNAM諸国だけの賛成で可決されています。理由は皆さんシミュレーションを通じて実感したと思いますが、NAM案が非常に偏っているからです。かといって、賛成をもっと得るために妥協をしていけば、JAC案やNAC案と似通ってしまい、NAMとしての存在感が薄れてしまいます。そこで、今回もNAMはぎりぎりでもいいから出来るだけ妥協しない形でNAM案を可決させようとしました。
マレーシアがグループリーダーとして既存のDRをわかりやすくし、NAMで共有しました。その後、若干の修正を加えた上で、提出。その後は、他グループのDRを読み込み、グループに分かれて交渉しました。マレーシアはNAM案を扱うWGに参加しました。その過程で、NACの賛成は取り付けましたが、N4は厳しいと思い、二日目からはJACに集中的に交渉するようにしました。当初から、多くの賛成票を見込めなかったので、NAMとNACが賛成、JACが賛成か棄権、N4が反対になればいいと思っていました。
3、 NAM案の正当化
本来、模擬国連ではボトムライン(相手から要求されてなんとか妥協できる最低ライン)などを設定してから交渉するのですが、今会議では当初から賛成票をあまり望んでいなかったのでボトムライン等は設定していませんでした。
むしろ、いかにして賛成や棄権をさせるために説得するかに力点を置きました。紙面の都合上、すべての文言に触れられないので、NAM案の批判について大きく分けて三つ取り上げたいと思います。それは「核軍縮に特化していること」、「核兵器国に特化していること」、そして「現実性に欠けること」です。
「核軍縮に特化している」理由は本音としては1で書いたとおりですが、建前としてはa. 核兵器がなくなれば不拡散の負担も減る、b. NAMとして統一見解を出せるのが核軍縮だけだった、と主張しました。a.に関してはかなり怪しいですね。むしろb.を前面に出して「不拡散については他のDRの投票行動で示す」を主張しました。
「核兵器国に特化している」理由の本音としては、インド、パキスタン、北朝鮮が仲間にいるためです。建前としてはa. 核兵器国と核兵器能力国を同列に扱うと、NPT体制の根幹を揺るがす、b. かといって3カ国を直接批判することもNAMとしては出来ない、と主張しました。
「現実性に欠ける」理由ですが、これに対してはa. 現実的だといわれるJAC案にしろ大して進展していない、b. 核兵器国が賛成しなくても他のすべての国が賛成すれば圧力をかけることが出来る、と主張しました。
4、最後に
本当は2ページ程度に収める予定でしたが、書き足りませんでした(笑) かなり圧縮したのでわかりづらいかもしれません。すみません。決して、新入生の人にもレビューを書けというわけではなく(もちろん前期会議では書いてくださいね)、先輩たちはこんなことを考えながら会議をしていたのか、となんらかの発見をして、前期会議に役立ててもらえたらいいな、という意図で書きました。なので、オリ合宿には参加できなかった人も読んでほしいと思います。
積極的に発言し、頑張って勉強している新入生の皆さんを見て嬉しくも思い、また怖くも思いました(笑)けど、それは今年の京都研も優秀な新メンのみんなで盛り上がっていくということです。一緒に模擬国連で楽しい大学生活を送りましょう^^
Review of Malaysia
0、 レビューとは
新入生も読んでくれることを期待して、最初にレビューとは何か説明したいと思います。模擬国連のメインはもちろん会議のシミュレーションですが、シミュレーションをして終わるのではなく、会議においてなぜあのような行動をとったのか、どの行動はよくてどの行動はだめだったのか、というのも重要な要素のひとつです。
もちろん、数人で話し合って互いに意見を言い合うレビューもありますが、こういった形で一大使、一個人として会議をレビューすることもあります。
1、 政策立案
新歓会議であることや既存の決議から逸脱できないことを考えると、本当の意味での「政策立案」は出来ませんでしたが、マレーシアがどのような方針を立てたのかを書きます。
もちろん、マレーシアは北に中国やインドという核兵器国がありますが、非常に差し迫った脅威であるとは考えていません。むしろ、非同盟諸国運動(Non-Aligned Movement: NAM)における存在感を発揮することが一番の国益だと考えました。つまり、会議でマレーシアがするべきこと=NAMがするべきこと、だと考えました。
そこで、次にNAMについて説明します。NAMはWP1でも書きましたが、冷戦期に東西両陣営のどちらにも与さない第三勢力として生まれたのがきっかけです。つまり、何かひとつの共通性をもつグループであるというよりは、強いて言えば「途上国」という共通性で集まっているに過ぎないと思います。このことから考えると、NPTの三本柱(核軍縮、核不拡散、核の平和利用)のうち、核の平和利用を重要視するのは当然です。原子力といった科学技術を利用して先進国の水準に近づきたいからです。そして、これと表裏一体の核不拡散には消極的です。なぜなら、先進国は核不拡散を口実に途上国の原子力技術の発展を阻害するからです。残りの核軍縮は賛成です。厳密に言えばNAMには核兵器国はいないので、N4の核をなくして少しでも国際社会でのパワーバランスを相対化させたいからです。ただ、NAMにはインド、パキスタン、北朝鮮も含まれているのでこの3カ国(とイスラエル)に言及することは出来ません。以上のような理由から、核軍縮、それも核兵器国に特化した核軍縮に偏ったDRが出来上がりました。
ここで一言付け加えておくとすれば、NAMは先ほども言ったようにさまざまな背景の国が集まっているので、DRの外(特に不拡散)についてのスタンスは各国でさまざまです。IAEA保障措置の強化を求める国もいれば、追加議定書に批准していない国もいます。
2、 会議行動
例年、NAM案はNAM諸国だけの賛成で可決されています。理由は皆さんシミュレーションを通じて実感したと思いますが、NAM案が非常に偏っているからです。かといって、賛成をもっと得るために妥協をしていけば、JAC案やNAC案と似通ってしまい、NAMとしての存在感が薄れてしまいます。そこで、今回もNAMはぎりぎりでもいいから出来るだけ妥協しない形でNAM案を可決させようとしました。
マレーシアがグループリーダーとして既存のDRをわかりやすくし、NAMで共有しました。その後、若干の修正を加えた上で、提出。その後は、他グループのDRを読み込み、グループに分かれて交渉しました。マレーシアはNAM案を扱うWGに参加しました。その過程で、NACの賛成は取り付けましたが、N4は厳しいと思い、二日目からはJACに集中的に交渉するようにしました。当初から、多くの賛成票を見込めなかったので、NAMとNACが賛成、JACが賛成か棄権、N4が反対になればいいと思っていました。
3、 NAM案の正当化
本来、模擬国連ではボトムライン(相手から要求されてなんとか妥協できる最低ライン)などを設定してから交渉するのですが、今会議では当初から賛成票をあまり望んでいなかったのでボトムライン等は設定していませんでした。
むしろ、いかにして賛成や棄権をさせるために説得するかに力点を置きました。紙面の都合上、すべての文言に触れられないので、NAM案の批判について大きく分けて三つ取り上げたいと思います。それは「核軍縮に特化していること」、「核兵器国に特化していること」、そして「現実性に欠けること」です。
「核軍縮に特化している」理由は本音としては1で書いたとおりですが、建前としてはa. 核兵器がなくなれば不拡散の負担も減る、b. NAMとして統一見解を出せるのが核軍縮だけだった、と主張しました。a.に関してはかなり怪しいですね。むしろb.を前面に出して「不拡散については他のDRの投票行動で示す」を主張しました。
「核兵器国に特化している」理由の本音としては、インド、パキスタン、北朝鮮が仲間にいるためです。建前としてはa. 核兵器国と核兵器能力国を同列に扱うと、NPT体制の根幹を揺るがす、b. かといって3カ国を直接批判することもNAMとしては出来ない、と主張しました。
「現実性に欠ける」理由ですが、これに対してはa. 現実的だといわれるJAC案にしろ大して進展していない、b. 核兵器国が賛成しなくても他のすべての国が賛成すれば圧力をかけることが出来る、と主張しました。
4、最後に
本当は2ページ程度に収める予定でしたが、書き足りませんでした(笑) かなり圧縮したのでわかりづらいかもしれません。すみません。決して、新入生の人にもレビューを書けというわけではなく(もちろん前期会議では書いてくださいね)、先輩たちはこんなことを考えながら会議をしていたのか、となんらかの発見をして、前期会議に役立ててもらえたらいいな、という意図で書きました。なので、オリ合宿には参加できなかった人も読んでほしいと思います。
積極的に発言し、頑張って勉強している新入生の皆さんを見て嬉しくも思い、また怖くも思いました(笑)けど、それは今年の京都研も優秀な新メンのみんなで盛り上がっていくということです。一緒に模擬国連で楽しい大学生活を送りましょう^^



