2月9日に出町座で「PERFECT DAYS」を見た。大きい映画館では1か月以上前から上映されていて、すぐにでも見に行きたかったけれど、この作品は大きい映画館ではなくて、出町座で見るのがぴったりなのではと思って待っていた。

 

そのうちすっかり忘れて、ふと「PERFECT DAYS」っていつから出町座で上映されるんだろう?とHPを見てみると、今日から!しかも30分後!アフタートーク付き??という情報を得て、とにかく急いで出町座に向かった。

 

初日、特別イベント付きということもあって満席。年齢層は若者から年配の方までいろいろ。

 

上映時間124分。終始映像がきれいで、トイレのデザインや風景の切り取り方が現代アートってかんじがした。トイレの清掃をする場面も多く出てきたけれど、汚いものは映像の中に全く出てこない。主人公の平山は必要なものだけ所持しており、簡素で満ち足りた文化的な暮らしを行っている。

 

ずっと見ていると、役所広司さんが役を演じているのではなく、平山が実在するのではないかと錯覚させられそうになるほど自然だった。しかし、一見こういう人どこにでもいるよねと思って、明日からやってみようとなると、現実の壁にぶつかりまくって、こんな風に生きるのはやっぱりムリってなりそう。ちょっと違うかもしれないけど、サザエさん一家みたいな?わかったようなわからないような、また見返したくなるような映画だった。

 

余韻そのまま、3階のアフタートークに参加させてもらった。東京の大学教授がこの映画を作ったヴィム・ヴェンダース監督についてと、映画の考察をお話されて、そのあと観客が先生に質問するという構成だった。

 

「え?この映画、日本人の監督が作ったんじゃないの?」舞台は日本。出演者もすべて日本人。ふつう日本人が作ったって思いませんか?しかも元々は東京の公共トイレを紹介する短編映像を作るという目的から出発して、監督がヴィム・ヴェンダースに決まり、そこから映画をつくることになったという経緯を知って、たしかにトイレ個性的すぎだったな。だから映像が所帯じみてなくてアートだったのか。とかいろいろ納得した。アフタートークに参加したのはこれが初めてで、監督や制作の背景を理解するのは面白いことだと知った。

 

家に帰って、晩御飯を済ませて、もっとたくさんのアフタートークを聞きたくなってyoutubeで検索してみると、ヴィム・ヴェンダース監督のインタビュー映像を発見した。監督はかなりのご高齢でと聞いていたけれど、存在感、やさしい声、机のかんじ、壁に飾られた絵、どれもが美しくてすっかり魅了されてしまった。さらに映画に対する思い入れ、俳優への思い、制作背景やエピソードなど、インタビュー内容がどれも興味深くて、何度も見ている。