11月某日

第35回コミック読書会を開催いたしました。

テーマは「The Best Comic of 2019」。

おそらく日本最速!今年読んで面白かったマンガを

紹介しあい、今年のベストを決めます。

 

忘年会も兼ねて、

宴会しながらのベスト発表。

お料理はこんな感じです。

 

 

参加者のトークネームはしりあがり寿先生・植田まさし先生

松本零士先生・魔夜峰央先生・一条ゆかり先生の5名です。

 

魔夜先生「『男子高校生を養いたいお姉さんの話』をおススメします。

Twitterで人気が出たことから週刊マガジンで連載することに

なった作品。描きたい気持ちをきわめた結果認められたということで、

作者さんの思い入れも感じられる作品です。隣人のミノル君を好き、

というより崇拝しているお姉さんが、親が蒸発したミノル君の親代わりとして

お世話をする話なのですが、溺愛っぷりが異常で逆に近づくことさえ

できないという、とても面白いラブコメです」

一条先生「ラブコメ上の障害って、恋敵がいるとか、素直になれなくて気持ちが

伝わらないとかなのに、好き同士だけど好きすぎて進展しないって、

なんだか新しいですね」

魔夜先生「好きな気持ちがまっすぐで、情熱的でスパークしてる感じなのに

それが行き過ぎててほほえましくて笑えます。読むと幸せな気分になれますよ」

 

一条先生「まずは『銃座のウルナ』。架空の国家の軍隊で軍人として働くウルナ

の物語です。愛と愛国心のはざまでゆれる描写がいいです。なにより、

まあ、正直ウルナちゃんはいまどきの作家さんの描く絵みたいに細身でグラマラス

みたいな感じじゃないんですが、ときどき挟み込まれる心象心理を描いた絵が

ホントに美しくて、たとえるならばルネッサンス西洋絵画のの女性の美しさ。

繊細な線で描かれた絵が、繊細なウルナちゃんの心情をあらわしています。

美しくも哀しい物語です。

二本目は打って変わって『ヤンキー君と白杖ガール』。町で鼻つまみ者のヤンキーと

目の不自由な女の子のラブコメです。ラブコメでありながらも今まではあまり

明らかにされてこなかった障がいのあるひとのリアルな感情や、

「生きづらい人々」の気持ちに真摯に切り込んでいて、とはいえやっぱりラブコメなので

重くなりすぎず、素直にメッセージが伝わります。一見モブな登場人物も丁寧に

描いているところもとてもいい。おすすめです!」

 

松本零士先生「『5時間目の戦争』を紹介します。おそらく少し未来の日本を舞台に

した作品。瀬戸内海の島で暮らしている中学生が主人公なのですが、

中三になると時間割の金曜日の五時間目に「戦」の授業が。どうやら日本は

「何か」と戦争状態にあり、その何かと戦うために子供たちがかりだされるという

ストーリーです。どんどん同級生たちが出征していく中で、じょじょに物語の

謎が明かされていきます。全4巻なのですが、4巻でえええ!ってなります。

ちょっと物語のたたみ方が性急すぎるところはあるのですが、この作品を描かれた後

作者さんがご逝去されたそうなので、そのあたりはとても残念ですね。

もう一作は『虚構推理』。もののけや怪異と推理的な要素を掛け合わせた作品。

知恵の神になるのとひきかえに右目と左足を失った少女と、件の肉と

人魚の肉を食べたことにより予知能力と不死の体を手に入れた少年が

コンビで推理していきます。真実を明かすのではなく、嘘と嘘を重ねて真実に

たどり着いていくところがエンタメで面白いです。1月にアニメになるそうなので

それも記念してこの作品をもってきました」

 

植田先生「まずは『新婚よそじのメシ事情』。食事を中心として新婚生活を

描いたものです。四十路で他人と同居する緊張感と距離感が絶妙です。

わりと奥さんが尻をひきがちなことろも面白い。一応フィクションということ

にはなっているのですが、エッセイっぽいというか、小坂先生の実生活と

かぶるところはありそうです」

一条先生「ラブラブいちゃいちゃじゃない、四十路らしい冷静な新婚生活が

逆におもしろいですね」

植田先生「次は『児玉まりあ文学集成』。児玉まりあという文学的な

しゃべりをする女子がひとりで活動している文学部に

男子が新たに入部してきます。この新入部員はちょっと天然な

感じで、ふたりのカラミが中心で物語がすすんでいきます。

大勢が読みたくなるようなメジャーな雰囲気はないですが、

とてもおもしろいです。

最後に『メランコリア』。彗星が接近してきて世界が終ることとなり

その週末までのさまざまな人間模様の短編集です。変人たちの

終末模様をいろんな角度から描く、道満先生らしい作品です」

一条先生「道満先生というと、物語がどんどんとっちらかっていく

散文的なおもしろさなイメージですが、やっぱりとっちらかるのですか?」

植田先生「この作品は一つの結論に集約していく感じですね」

 

しりあがり先生「『青のフラッグ』をおススメします!青春です!!

高校生の青春群像劇です。まず主人公はごくふつうで感情移入しやすい。

たいして友人たちはいろんなものをかかえている。同性愛などもからんできます。

高校生なのに、すごく重い人生の課題を背負わされていて、それぞれが

それに向き合いながら、時に衝突したりしながらも頑張っていきています。

その真摯な姿に、自分にはなかった青春をプレイバックしているような

気持ちになれます。ぜひ!」

 

そんなこんなでおススメ作品もでそろい、

一番読んでみたくなった作品にそれぞれが投票。

栄えあるベストに選ばれたのは

 

 

 

KAITO先生の『青のフラッグ』でした!

 

 

 

ぜひみなさんの読書の参考にしてみてくださいね。

 

 

 

次回は

2020年1月18日(土)

テーマは「田島列島先生作品」です。