5月某日

マンガカフェヨミガエルにて

コミック読書会が開催されました。

テーマは「マンガ世界の歴史」。

歴史モノ(世界史限定)の漫画をおススメしあう回です。

 

メンバーは、トークネームが

魔夜峰央先生、萩尾望都先生、日野日出志先生、

本宮弘志先生、谷間夢路先生、藤子不二雄A先生の

6名です。

 

お菓子は世界史にちなんで

マリーアントワネットの大好物といわれている

フランス菓子のクグロフでした。

ケーキというよりはパンっぽい味わいです。

 

 

差し入れに令和クッキーもいただきましたよ。

トレンディだね!!

 

 

では本題へ。

 

魔夜先生「『天は赤い河のほとり』を持ってきました。

萩尾先生、谷間先生「篠原千恵先生!なつかしい!

 『闇のパープルアイ』描いてはった先生ですね」

魔夜先生「残念ながらその作品は読んでいないのですが…(笑)

 これはヒッタイト時代、東西の文化が交わり製鉄の技術が生まれたころの

 話です。現代の日本の中学生ユーリが、呪術により、この時代にひきよせられる

 ことから物語がはじまります。ヒッタイトの王子カイルを主役に、

 エジプトのラムセスなどもでてきます。」

萩尾先生「その時代ということは、暗殺とか王位のうばいあいとか

 あるのですか?」

魔夜先生「はい。で、このユーリが意外に才覚がありまして、

 知力や体力をつかってカイルを手伝いながらのしあがっていきます。

 ライオンを倒したりもします」

本宮先生「え、女の子がライオンたおしたりするんですか!

気になりますねえ(笑)」

 

日野先生「そもそもは安彦良和先生の『アリオン』をもってくる

 つもりだったのですが、神話系のファンタジックなものは

 歴史にふくまれるのか微妙だったのと、なにより、

 部屋で埋もれてみつからなかったので(笑)、

 ここの書棚にある『ベルサイユのばら』にします。

 フランス革命時の史実をもとに、

 池田先生のオリジナルのキャラクターが魅力的な

 作品です。」

谷間先生「当時は少女漫画といえば、お姫様っぽい

 女の子らしいキャラばかりだったのに、

 いままでにない強い女性像があらわれて、

 当時の女の子たちは夢中になったそうですよね」

日野先生「戦う女性を主人公にした

 エポックメイキング的な作品だと思います」

 

萩尾先生「『七人のシェイクスピア』をおすすめします!

 マクベスなどを描いたシェイクスピアが実は7人だったという

 驚きの設定の作品です。

 当時のプロテスタントによるカトリックへの弾圧など、

 史実をもりこみながら、話の内容は非常にわかりやすい

 さらさらよめる展開になっています。

 シェイクスピア自体はそんなに能力が高いわけではないのですが、

 周りの才能がすごくてすばらしい作品が生まれていくところが

 チームプレイで面白い。いい佐村河内といった感じです」

谷間先生「うまいこという(笑)」

 

藤子先生「以前ジャンプで連載していた『封神演義』が大好きだったので

 もってきました。当時学生だった自分は夢中になって読んでいました。

 (コミックスの後ろをみながら)時代的には『マキバオー』『るろうに剣心』

 『両さん』が百巻くらいだったころですね(笑)。『封神演義』のオリジナル自体は

 日本で言ったら「桃太郎」「金太郎」みたいに有名な話だそうで、

 それをもとに藤崎先生がアレンジした物語です。

 中国の殷の時代を舞台に、主人公が仙人になる修行をしながら

 大活躍します」

萩尾先生「ちょっとグロテスクな描写も多いですね」

藤子先生「人間ハンバーグとか、ちょっとえぐい描写もありますねえ」

谷間先生「中国史プラスファンタジー、って感じの話でしょうか?」

藤子先生「そうですね。キングダムが秦の時代、三国志が三国時代ですけど、

 殷の時代を描いた作品はなかなかないと思います。

 ただ感じの名前が多いのでキャラを覚えるのが難儀です」

本宮先生「三国志もおぼえにくいですよね。中国モノあるあるですね」

 

谷間先生「かぶりました!自分も『七人のシェイクスピア』もってきました!

 萩尾先生のお話にもありましたが、はぐれ者同士それぞれの個性を

 発揮しながら、すごい作品を作り出していくという、ほんと少年漫画的な

 鉄板ストーリーで楽しみながらよめる展開です。

 もう一冊は『宮廷画家のうるさい余白』。スペインの実在する宮廷画家を

 モデルにした話です。肖像画を描かれることを拒むお姫様と

 それを描こうとする画家とのやりとりがおもしろいです。

 『パレス・メイヂ』もそうですが、久世先生は男女の絶妙な距離感を描くのが

 ほんと秀逸でいいんですよ。

 あと余談ですが、『七人…』ではプロテスタントのカトリックに対する弾圧が

 ひどくて「プロテスタントひでえ!」ってなるのですが、『宮廷画家…』では

 カトリックが芸術をとんてもなく迫害するシーンがありまして「カトリック

 ひでえ!」ってなりました。時代によって大きく受ける印象がかわるのが、

 自分的には興味深かったです」

 

本宮先生「『ヴィンランド・サガ』がおススメです。これはヴァイキングが北欧を

 またにかけていた時代の話です。ヴァイキングというと海賊で略奪してるだけの

 集まりかと思っていましたが、季節によっては農耕したり、いろんな

 生活がしれるのも面白いところです。命をかけて覇権をうばいあう時代の中で

 主人公トルフィンが、略奪したり殺しあったりせずに生きていける方法はないかと考え

 理想郷であるヴィンランドへの旅を始めます」

谷間先生「いやあ、ヴィンランドサガはほんと深いですねえ」

本宮先生「『プラネテス』を描いた幸村先生の作品だけあって、

 生命とか愛とかに言及していくところも面白さのひとつですねえ」

 

谷間先生「こうして見返してみると、世界の歴史は戦いの歴史ですねえ。

 今日来られなかった方のおススメの『狼の口』も読んだのですが、

 ひどい弾圧をうけていた民衆が立ち上がって支配者を倒すんですが、

 その支配者に対してされていた以上のしうちをする。

 なんだかなにがただしいのかわからなくなります」

藤子先生「戦いに勝ったものが正義っていうことなんですかね」

谷間先生「なんとも人間ってやつは…って感じですね」

 

 

などなど、世界の歴史を中心にさまざまな話に

飛び火しながらおひらき。

 

 

 

次回は7月27日(土)

テーマはあだち充先生の『タッチ』です。