7月某日

マンガカフェヨミガエルにて

第27回コミック読書会を開催いたしました。

テーマは夏らしく?『SFマンガおすすめナイト』。

 

お菓子は

宇宙をイメージした真っ黒なシフォンケーキに

星をイメージしたフルーツを添えて。

 

参加者はトークネーム大友克洋先生・佐藤秀峰先生・萩尾望都先生・

安野モヨコ先生・島本和彦先生・井上雄彦先生・松本零士先生の7名です。

 

まずは

安野先生のおススメは…

安野先生「『百万畳ラビリンス』です。上巻はゆるやかに、

下巻はスピーディーに、緩急があってするする読めました。

萩尾先生「どういう話なのですか?」

安野先生「いわば迷宮なんですけど、畳があったりでレトロ感かある

空間で、どうやって現状を打破するのか、考えながら進む物語です」

大友先生「ラストについてどう思われます?彼女は幸せやったのかなあと」

安野先生「私は幸せエンドだと思いますが」

佐藤先生「初めは普通の女子大生だと思っていた主人公が

その世界でいきいきとしはじめてむしろあっているという感じ。

ただもう二度と戻れないっていうわけではないのかなあ。

戻ろうと思えば戻れるけど、あっち側がしっくりきてるような感じはしますね」

 

井上先生「『あげくの果てのカノン』を紹介します。

この作品、SFでもあり、不倫ものでもあるんですよ。

作中にいろいろ印象的なシーンがあって、

いろいろ考えさせられました。どなたか読んでらっしゃいませんか?」

一同「タイトルは聞いたことあるけど、未読です」

   「むっちゃふせん貼ってあってスゴイ!」

井上先生「あ~、みなさんがどんな感想もたれるか聞きたかった!

カノンちゃんは純粋なのだけど、好きな人に対して一方的というか、

カノンちゃんに限らず、登場人物がたがいの自己愛を投影しあっている

というような感じなんです」

島本先生「面白そうですねえ。ぜひ読んでみます!」

 

島本先生「まずは『度胸星』を。自分はこれが好きで、人生の30本のマンガを

選ぶとしたら絶対入れる!火星探査乗組員がなぞの物体テセラックに襲われ

音信不通に。地球から救助にいくため新たな乗組員を募集するのですが、物語は

火星でテセラックと戦う様子と、地球での訓練と交互に進んでいきます。なぞの生物と

戦うSF要素と過酷な訓練を仲間と乗り切るというエンタメ要素と両方成立して面白い!

なぜ打ち切りになったのか!ほんと残念です!

つぎは『AIの遺電子』。近未来アンドロイドと人間が共生している時代がきていて、

主人公はアンドロイドのための医師という設定。人間とは、人間性とはを考えさせられる

ヒューマンドラマです。

最後に『アイリウム』を。これは飲むと一定期間記憶が飛ぶ

アイリウムという薬をめぐるオムニバスです。SFというより、世にも

奇妙なっぽい感じです」

佐藤先生「これ、最近世にも奇妙なでやってましたよね」

島本先生「ホンマにやってましたね(笑)」

 

松本先生「自分は好きなマンガジャンルと言えばやっぱりSFで、

小さいころから愛読していたこともあって、松本零士先生が

大好きなんです。で『ニーべルングの指輪』を持ってきました。

いままでの松本キャラ勢ぞろいの、松本作品の集大成な作品

だそうなのですが、あいかわらず風呂敷がひろがりまくっているような。」

島本先生「メーテルとエメラルダスが姉妹といってみたり、姉妹のようなもの

といってみたり、設定も結構バラバラしてますもんね」

松本先生「はい。しかし自分は、松本先生作品に、意味とか

内容あるストーリーをもとめているというよりは「ロマン」を求めているので、

ロマンは存分にみちあふれています!

とくに好きなキャラがハーロックでして、ハーロックに関しては

『次元航海』という若い作家さんがかかれた新しいハーロックマンガが

あるのですが、こっちの作品でひろがりまくった風呂敷をたたんで

いるような感じがします」

 

萩尾先生「『少女終末旅行』をもってきました。この作品はSFというくくり

というより、漫画としてすごく好きな作品なんです。荒廃した閉鎖された

非日常な世界の中で少女二人の日常がくりひろげられていて、

せつなさもあってすごくいいです」

佐藤先生「いいですねえ。自分も好きな作品です。アニメもよかったですね」

萩尾先生「それから『人形芝居』を。アンドロイドと人間の交流を描く

ヒューマンドラマです。90年代からゆっくりと続いている作品で、いまもまだ

継続中です。長期連載なので絵柄が若干変わっていっていますが」

島本先生「長期連載あるあるですね(笑)」

 

佐藤先生「『コミック星新一』を紹介します。いろんな作家さんによって

星新一作品をコミカライズされています。それぞれ作家さんの持ち味が

生かされていて面白いです。特に青木先生の作品がとぼけた味わいも

深くて面白かったです。

次は『花とアリス殺人事件』。岩井俊二監督作品をコミカライズしたものです。

映画とは若干アレンジが違って、部屋の中が異世界のようになっていたり

道満先生らしい仕上がりになっていて、映画のコミカライズとしてはすごく

いい作品になっていると思います。

次は『レベルE』。」

一同「おお!富樫先生!」

佐藤先生「宇宙人の王子が地球にやってきて、いろいろ騒ぎをまきおこす、

ギャグ要素が強めの作品です。地球にきた理由が「ひまつぶし」ってところが

なんだか富樫先生っぽくていいです」

松本先生「こうして改めてみると、やっぱり絵むっちゃうまいですねえ」

佐藤先生「それから同人作品ももってきました。『ドーナツ』です。

ドーナツの穴をのぞくと過去がみえるというお話です」

井上先生「装丁が凝ってますねえ」

佐藤先生「もう一作は『シェアハウスの話』。いっしょに住んでた人が

実が宇宙人だったという話です」

松本先生「絵がかわいいですね」

 

大友先生「『WORMS』を持ってきました。ある星での戦争の話なのですが

妊婦だけで形成された部隊を軸にしています。女性たちが現地の生命体を

胎内に宿すことによりテレポート能力を得、その星の第1移住民ファーストと

第2移住民セカンドが戦争を繰り広げます。とにかく、設定が秀逸で

すごく面白いです!」

井上先生「作品上の倫理観がどうなっているのかは気になりますが…」

佐藤先生「突拍子もない設定でありながらそれに必然性をもたせていて、

なんだか名作のにおいがしますね」

 

島本先生「ひとことにSFといってもいろんな作品がありますね」

萩尾先生「SFもスペースファンタジーなのかサイエンスフィクションなのか

すこしふしぎなのか、でとらえ方がいろいろですものね」

島本先生「うまいこといわはる!とにかく読んだことないおもしろそうな

作品がいっぱいでそろったのでぜひ読んでみたいです!」

 

次回は

9月22日(土)

テーマは板垣巴留先生『BEASTARS』です。