お疲れ様です。
夕方の公園にて。
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田崎健太『全身芸人 本物(レジェンド)たちの狂気、老い、そして芸のすべて』(太田出版)を図書館で借りて読了。
この著者らしい、実に素晴らしいルポルタージュでした。
全ての章について熱を入れて語りたいところですが、それをやると鬱陶しさのあまり誰にも読んでもらえなさそうなので、雑感を幾つか並べるだけにします。
月亭可朝。
エピローグで描かれている、娘さんの月亭可朝への愛情(というシンプルな言葉を使っていいものか迷うけれど、明らかに正の感情)が月亭可朝という人間の本質を如実に物語っていると感じました。近い人にどう思われるか、ですよね。
毒蝮三太夫。
人として、本当にかっこいい。
毒蝮三太夫の章で、黒澤明監督が重視した「見切れた場所」について書かれています。ここで詳述はしませんが、人生においてものすごく大切なことを教わった気がしました。
「今日、今、この瞬間から生かせる教訓を得られることもある」のが読書だということを、本書で改めて思い知りました。
そんな体験は、僕のように(恐らく)平均以上に本をたくさん読んでいても稀有なのですが、たとえば前述の「見切れた場所」という言葉(概念)。黒澤明監督はそれを重視していた、と……。
彼の(ような巨匠の)映画作りの姿勢の本質には、僕のようなド庶民の実生活にも「いくらでも生かせる」智慧が詰まっていたりする……。
驚く程に面白いルポルタージュで、なおかつ得難い教訓まで貰えた。この本と出会えただけで、今日という一日を肯定できるような気がします。
著者に感謝です。