おかあちゃん 雨風が激しくなるって聞いていたけど 
こちらは 大丈夫だった。

おかあちゃん 犬は人間の息で 癌が分かるらしい。
ワン子は 何にも分からない。
「ネェ ネェ ワン子 私はどうかな。」
ペロペロ 顔を舐める。
そうか そうか お前はそれでいい。

「ワン子 あんたは 変わらないね。」
きっと ワン子はどんな病気になろうと 変わらないんだろうね。
ワン子の足が悪くなったのは 私のせいだ。
だけど ワン子は私を責めたしない。無心に 甘えてくる。
私が「ゴメンね。戸を開けておかなければ 外に遊びに
行かなかったのに」何て言っても ただ甘えてくる。
人間だけだよね。病気だからって 大騒ぎ。何かのせいにしたり 
悲観したり ワン子 私も 見習いたいよ。
何にも動じる事なく 与えられた その命をゆっくりと終えて
逝くんだろうね。

再発が 完治しない事を知った。
沢山の人が 治療で 苦しい生活をされているのを
目の当たりにしてきた。
私には出来ない。何の為にするのか。
待っていてくれるおかあちゃんも ここにはいない。
おかあちゃん ゴメン。最後の親孝行も果たせそうにない。
ワン子を連れても行けない。ありがとう。ワン子。
どんなに 助けられたろう。あんたに会えてよかった。
あんたの事は 何とかしたい。まだまだ 一緒だよ。ワン子。

変だね。今日は やたら涙が出てくる。バカみたい。
私には いつまで生きるかではなく いつまで元気かが重要。
まだまだまだ時間はあるよね。
ちゃんとせい。する事 いっぱいあるだろ。バカん子。
涙の訳は 病気の事じゃない。おかあちゃんとの約束を果たせなく
なった事。ワン子を最後まで見られないかも知れない事。
まだ結果も聞いていないのに バカん子。
看護士がくれた用紙には 結果は電話でと書いてあった。
なのに 先生は「来なさい」と言われた。
私自身 画像で分かった。細胞診をする意味は。
【死】っていうのは 突然に現実としてやってくるんだね。
覚悟は出来た。出来た気がする。
凛としないと。出来るかな。
今 思うよ。おかあちゃん 愛している。
おかあちゃんに会えてよかった。
ありがとう。ありがとう。本当にありがとう。大好きだよ。

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おかあちゃん ありがとう 好き好き好き好き好きだよ 愛しているよ
これからも ズーとズーとズーとズーとズーと一緒だよ よろしくね