台風を何とか避けることが出来た金曜の夜、僕はCrawdaddy Clubで歌っていた。
Kyotaro The Three とYuko Kyozukiとのツーマンだ。
駅の東口を出て歌舞伎町の横断歩道を渡る。
嘔吐物と老廃物が混ざったような匂い、インバウンドらしき人たちの大きな笑い声、やはりここは新宿なんだ。
雨はあがったものの、台風の影響で電車が遅れ気味だという情報を得、家を早目に出た。
まあ、遅れ気味といっても時刻表がずれるだけのことで、実質あまり変わらないのだが。
案の定、そのまま早めに着いた。
たぶん自分が一番先だと思ったら、なんとユウコちゃんたちが既に来ていた。
「この天気じゃ、静岡から車では大変だったでしょう?」
「そうなのよ、向こうを出た時はどうなることかと思ったけれど、雨も段々弱くなってきて何とかなったわ。」
「無事に到着出来て安心した。半年ぶりに会えて嬉しいよ。」
「私も亨ちゃんに会えて嬉しいわ。」
綺麗な顔で微笑まれると、気分も上がってくる。
やはり自分は面食いなんだなと思う。
ハツが上手く言っていた。
「ユウコちゃんは劇でクレオパトラ役をやればすごくハマると思うよ」と。
確かにクレオパトラみたいだ。
もっとも、クレオパトラに会ったことはないのだが・・。
劇といえば、ユニットYuko Kyozukiのステージは正にお芝居を観ているよう。
MCがいっさい無く、あるのは曲中のセリフのみ。
不思議な感覚だ。
Kyotaro The Threeのこの日のセットには新曲が2曲入っていた。
ひとつのライブで初お披露目のオリジナルを2曲やるというのは、記憶する限り初めてのことだ。
よくやったなとも思う。
一曲は「Loser」というタイトルで、女に逃げられたなんとも悲しい男の話。
もうひとつは「Lock On Me」
先日あるバーでカウンターの隣に座った女の子が問いかけてきた言葉にインスパイアされて出来たもの。
直訳すると「俺に狙いを定めてくれ」ぐらいになるのかな。
2つともトーマスにサポートしてもらいながら英詞をつけた。
「Lock On Me」は全編英語。
で、「Loser」の方もひととおり英詞を使うつもりだったのが、3日前のリハの際、ハツが「日本語で聴きたかったな、意味がわからないから全然伝わってこないよ」とダメ出し。
二神ちゃんは特に不満は無さそうだったのだが・・。
そこで急きょ日本語を中に挟むことにした。
おかげで、詞が完成したのは当日の昼。
もういっぱいっぱいだ。
改めて考えてみると、「Lock On Me」は意味が通じなくてもなんとか勢いで歌ってサマになるようなタイプ。
でも「Loser」の方はそうはいかない。
なにせ男の心情を赤裸々に綴っているのだから、「日本語で聴きたい」というのももっともな意見かもしれない。
ではなぜ英詞を使うのか。
そこにはグルーヴがあるからだ。
自分は、ロック音楽はやはり英語で歌うのが一番しっくりくる、と思っている。
グルーヴが出しやすいのだ。
ジャズなんかは特にそうだろう。
しかしながら、音楽はリズムだけで出来ているわけではない。
三要素と言われる、リズム、メロディー、ハーモニー、そして歌ものなら、言葉、それらが絶妙にブレンドされて美しいものが生まれるわけだ。
もし自分が日本語で歌いたいと思えたなら苦労はしないだろう。
ところが、子供の頃から洋楽に親しんできたのだから一筋縄ではいかない。
なんとか英語で歌いたい。
でも自分はネイティブではないし、ここは日本だ。
折り合いをつけるしかない。
まあ、その答えが今回の「Loser」というわけだ。
Crawdaddy Club
そこは流石に新宿のロックバー
ライブには外国人のお客さんも。
アメリカからのカップルはクリームのナンバーがお気に入りのようだった。
オリジナルも褒めてくれた。
マスターのミキヤさんは「今夜のライブ、最高だったんじゃないですか。」
とのねぎらいの言葉を。
そして、あのカップルが言っていた話を教えてくれた。
「自分たちはアメリカでいろんなバンドを観てきた。ニューオーリンズのジャズバンドなんかもね。でも、今夜のバンドが最高だったよ。」
と。
セットリスト
M-1 White Room
M-2 So Sweet
M-3 This Masquerade
M-4 The Final Conversation
M-5 Loser
M-6 Lock On Me
M-7 Sleepy Time Time
M-8 Crossroads
【アンコール】
Little Wing
2025.9.5.Fri. at Crawdaddy Club